トランプ大統領就任演説にみた2つの感激

日本時間の2017年1月21日(土)午前1時過ぎから始まったトランプ大統領就任式からまだ丸一日もたっていませんが、公表されたその就任演説内容を読んで、その感激を一刻も早くブログに書きたくなってしまいました。

 

 私が、この就任演説内容に大変関心を持っていたのには理由がありました。それは、当選後となると選挙中に「言ったことはやらない」「言わないことはやる」政治家があまりにも多いので、演説内容が選挙中の主張と比較し後退したものになるのではないかと思っていたからです。

 

しかし、その危惧はまったく当たらず、その演説内容に感激するとともに、胸のすく思いがしました。その中でも以下の2点を特にあげておきたいと思います。

 

1 よくぞ言ったり‟保護貿易政策によってより繁栄し強力になる“

 

演説の半ばあたりで以下のような発言がありました。

貿易、税、移民、外交問題に関するすべての決断は、アメリカの労働者とアメリカの家族を利するために下されます。ほかの国々が、われわれの製品を作り、われわれの企業を奪い取り、われわれの雇用を破壊するという略奪から、われわれの国を守らなければなりません。保護貿易政策によってより繁栄し強力になります。わたしは全力で皆さんのために戦います。

(注)上の翻訳文は「NHK NEWS WEB 2017年(平成29年)1月21日 土曜日」からの引用ですが、実はそれには赤字の部分が抜けていたのです。演説を動画(もちろん同時通訳付き)で聞いた時には、その言葉に非常に感激したのに。どうして? まさかNHKのいつもの病気がまた出たのではないでしょうが、英文では「Protection will lead to great prosperity and strength.」とありますので、間違いないでしょう。

 

「保護貿易」は「戦争を招く」「経済が衰退する」とか、ぼろくそに言われ続けてきましたが、まったく逆に「繁栄を招く」と言い切った政治家は今までいたでしょうか。私は知りません。しかも、自由貿易推進の総本山であったアメリカの大統領がです。

 

これはすごいことです。

 

しかし、このような考え方を元京都大学大学院准教授中野剛志氏は、柴山佳太氏との対談集「グローバル恐慌の真相」の中で以下のように言っていたのです。

・物事の本質は鎖国か開国かではなく、経済成長の要因を外に求めるか自ら作り出すかだけでないか。

・保護貿易は鎖国にあらず。国内分業を勧め国民同士の結束を強めること

保護主義のほうが内需を拡大し経済が成長するので、逆に輸入が増える。

 

就任演説にあった「私たちは2つの簡単なルールを守ります。アメリカのものを買い、アメリカ人を雇用します」こそが、上にある「国民同士の結束を強めること」「内需を拡大し経済が成長する」を目指すものと受け止めました。

 

 一方、就任式のほんの少し前(日本時間1月20日)、国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説が行われました。その時の貿易問題に関する発言は以下のとおりです。(首相官邸HPより引用)

自由貿易の旗手として、公正なルールに基づいた、二十一世紀型の経済体制を構築する。TPP協定の合意は、そのスタンダードであり、今後の経済連携の礎となるものであります。日EU・EPAのできる限り早期の合意を目指すとともに、RCEPなどの枠組みが野心的な協定となるよう交渉をリードし、自由で公正な経済圏を世界へと広げます

まさにアメリカ大統領がその就任式で、保護主義へと大きく方向転換することを世界に明言した時に、日本の総理が「自由貿易の旗手として交渉をリードし、自由で公正な経済圏を世界へと広げます」と言うのに何か虚しささえ感じるのは私だけでしょうか。

 

安倍総理は施政方針演説で「先の見えない時代において最も大切なことは、ぶれないこと」と言っていますが、私には「○○の一つ覚え」としか聞こえません。虚ろに先を見るのではなく現実を直視し、政策を逆方向に転換させるそのような大胆な「フィードバック政治」の登場を願うしかありません。

 

 

2 「アメリカ第一」の真意は「すべての国民第一」であること

 

 トランプ大統領の掲げる「アメリカ第一主義」とは、アメリカにとって都合の良い貿易を相手国に強引に押し付けることであり、TPPから離脱しても今後は日本に2国間FTAの締結を迫り、コメや牛肉などの完全開放を求めてくるのではないかという危惧がないわけでもありませんでした。

しかし、演説の中に以下のような発言がありました。

私たちは、世界の国々に、友情と親善を求めるでしょう。しかし、そうしながらも、すべての国々に、自分たちの利益を最優先にする権利があることを理解しています。私たちは、自分の生き方を他の人たちに押しつけるのではなく、自分たちの生き方が輝くことによって、他の人たちの手本となるようにします

 

私はこれに少し安心しました。

 

しかし、いくらきれいごとをいっても現実は国と国との利害の対立が生じます。例えば、アメリカと日本との間の貿易不均衡の解消を迫られたときにどうなるのでしょう。

 

従来ならアメリカは日本にコメや牛肉を買えと押し付けたのですが、それぞれの国の利益を最優先することを尊重するということは、アメリカは日本に押しつけはしないが、日本もアメリカに押し付けするな(自動車などを輸入制限するぞ)ということになろうと思います。

 

つまり、貿易によって互いに自国民に犠牲者を生む、貧しい人々を作り出すことはもうやめよう。安易に貿易に頼るのではなく、必要なものは可能な限り自国内で生産(アメリカ人を雇用)し消費する(アメリカのものを買う)、そのような自国民雇用優先の自国民第一(保護)主義の世界的経済体制に共に移行しようと、トランプ大統領は言いたいのだと私は受け止めたいと思います。

 

この受け止め方は甘いかもしれませんが、いずれにせよ今後日米間がどうなるか興味津々です。

 

 

3 胸のすく思いがした発言録

 

演説の中で、特に「その通りだ―、よくぞ言ってくれた!トランプ」と胸のすく思いがした発言を以下に抜粋します。単なるコピペですいませんが、是非胸のすく思いを味わってください。

・あまりにも長い間、ワシントンの小さなグループが政府の恩恵にあずかる一方で、アメリカ国民が代償を払ってきました。ワシントンは栄えてきましたが、人々はその富を共有していません。政治家は繁栄してきましたが、仕事はなくなり、工場は閉鎖されてきました。既存の勢力は自分たちを守ってきましたが、国民のことは守ってきませんでした。彼らの勝利は皆さんの勝利ではありませんでした。彼らが首都で祝っている一方で、闘っている国中の家族たちを祝うことはほとんどありませんでした。

 

・本当に大切なことは、どちらの政党が政権を握るかではなく、私たちの政府が国民によって統治されているかどうかということなのです。

 

・母親と子どもたちは貧困にあえぎ、国中に、さびついた工場が墓石のように散らばっています。

 

・何十年もの間、私たちは、アメリカの産業を犠牲にして、外国の産業を豊かにしてきました。

 

・何兆ドルも海外で使う一方で、アメリカの産業は荒廃し衰退してきました。私たちが他の国を豊かにする一方で、われわれの国の富と強さ、そして自信は地平線のかなたに消えていきました。取り残される何百万人ものアメリカの労働者のことを考えもせず、1つまた1つと、工場は閉鎖し、この国をあとにしていきました。中間層の富は、彼らの家庭から奪われ、世界中で再分配されてきました。

 

・私たちは雇用を取り戻します。私たちは国境を取り戻します。私たちは富を取り戻します。そして、私たちの夢を取り戻します。

 

・私たちは、人々を生活保護から切り離し、再び仕事につかせるでしょう。

 

・私たちは、話すだけで常に不満を述べ、行動を起こさず、問題に対応しようとしない政治家を受け入れる余地はありません。空虚な話をする時間は終わりました。行動を起こすときが来たのです。できないことを話すのはもうやめましょう。

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