偶然ともいえるできごとが重なり、私が住む答志島の鳥羽磯部漁協和具浦支所が、ワカメとしては世界初のエコラベル(マリン・エコラベル・ジャパン:MEL)を、令和元年7月26日付で取得しました。「月刊漁業と漁協」(漁協経営センター出版部)の令和元年10月号でエコラベルの特集が組まれたことから、そこに表記のテーマで投稿しました。
内容は
1 偶然が重なったエコラベル取得に向けたきっかけ 2 MEL取得のためには、何を守り、何をしなければならないのか (1)入手すべき資料 (2)審査における原則と基準 (3)MEL取得のための実際の作業におけるポイント 3 今後に向けた取り組みの方向 (1)2020東京オリンピック・パラリンピック選手村への提供の実現に向けて (2)浜のワカメの直販(小売り)の実現にむけて 4 エコラベルの否定的側面における改善の方向について |
となっています。
特に上記4においては、以前から私が「エコラベル」に対し感じていた疑問について触れており、最後に
誰もが反対する理由がない「より安全・安心に」「より衛生的に」という「良かれと思ってやる制度改正」においては、ついてこられない弱者を切り捨てるとことで、一部の大規模事業者のみが残り太るという、社会経済全体の多様性の喪失と格差拡大いう否定的側面を有することを忘れてはならないと思う。それが起こらないようなエコラベルの仕組みこそが、本当のエコと言えるのではなかろうか。 |
と改善点を指摘させていただいております。
またここには書いていませんが、エコラベルの流通加工認証(CoC認証)においては、フードマイレージ(食糧の輸送に伴い排出されるCO2が、地球環境に与える負荷)の概念が軽視されているのではないかという疑問を有しています。なぜ地球の反対側から飛行機で運ばれてきた外国の養殖魚にエコラベルが堂々と貼られて売られているのでしょうか。確かにその生産国の近隣の輸出先においてはエコの基準を満たしているでしょうが、多くのCO2を排出して空輸した遠隔の国においても、エコの魚と称してもよいのでしょうか。飛行機に乗らない環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんに、「これでもエコでしょうか」とぜひご意見を聞いてみたいところです。
エコラベルにはいろいろな問題がありますが、先般12月13日付で世界水産物持続可能性イニシアチブ(GSSI)の承認を得た日本発のMELこそが、ぜひ地域の漁業や資源の特性に適応した多様性を有し、エコというきれいごとを利用した金儲けが目的の認証ビジネスではない、零細漁業者にも金銭面でエコな取得しやすい真のエコラベルとして発展してほしいと思います。
投稿文のPDFがここにありますので、お読みいただければ幸いです。