新MSYは環境変動を考慮しているのか?いないのか?

 令和2年11月25日付でこのブログに「クロマグロ訴訟事前記者レク配布資料(資源管理問題)」を掲載しました。そこに添付した「札幌記者レク配布資料(追加分含む)」の最後の追加分において、国のいう新MSYが環境変動を考慮しているのかどうかについて

新MSYの計算式には、櫻本先生の計算式にある「環境項」があらかじめ組み込まれておらず、単純な親と子の関係式だけで、その計算結果を直近の現実のデータに合わせ事後的に修正(これを環境を考慮していると称している)するだけのこと。よって、新MSYなるものであっても、なぜ計算結果と現実が異なってくるのかというメカニズムの解明が永遠にできない。

という私なりの勝手な解釈を加えました。

しかし、本当にこの解釈でよいのかどうか気になったので、東京海洋大学名誉教授の櫻本和美先生に確認しましたところ、以下のようなコメントが寄せられましたので、ご紹介します。

私がコメントを読んで思ったのは、「環境を考慮」の意味のとらえ方もあるかと思いますが、やはり国の新MSYは「環境を考慮」しているとはいえないものと理解しました。

 

(以下、櫻本先生のコメント)

環境を考慮していないという意味

図1を見てください。図1の上段の図は、マサバ太平洋系群のRPSです。

 

1980年代はRPSは低く、1990年代はRPSは高い。これは、1980年代はマサバにとって悪い環境で、1990年代はマサバにとっていい環境であったことを示します。

従って、環境変動を考慮して資源変動を分析するとは、時代ごとに、RPSの高低を考えることに相当します。

 

それに対して、資源変動を分析するときに、環境変動を考慮していないということは、そのような時代ごとに、RPSの高低を考えることはぜず、全期間を同じ環境と見なしていることに相当します。

 

現に、マサバ太平洋系群で1970年から2017年までの48年間を同じ環境下と見なす、と水研は私の公開質問に対して、回答しています。

 

ホッケースティックモデルがいいか悪いかは、しばらく置いといたとしても、

環境条件が悪かった1980年代は、図2(A)の上段の図、環境による影響(下側に引っ張る上下の矢印)を考え、環境条件が良かった1990年代は、図2(A)の下段の図、環境による影響(上側に引っ張る上下の矢印)を考えるということであれば、環境変動を考えていることにはなります。

 

環境変動を全く考えていないとは、図2(B)のように、全期間で同じ上下の矢印を考えるということに相当します。ただ単に、ランダムな変動を加えているだけです。これを、環境による変動を考慮している、と水研は言っているわけです。

 

以上のことを、考慮して書くと

 

水産庁は、新MSYは環境変動を取り込んで計算式している、と主張していますが、ただ単に、全期間同様に、ホッケースティックモデルの回りをランダムに上下に変動させているだけですから、過去の資源変動の再現は不可能です。

 

現実の資源は、この時期は悪い環境が続いたために資源が悪化した、この時期は、良い環境が続いたために、資源が増大した、という環境と資源の増減の因果関係があるわけですが、それを考慮していないのですから、過去の資源変動が再現できるはずはないわけです。

 

水産庁は、新MSYは環境変動を取り込んで計算式している、と言いながら、この時期は、環境が良かったとか、この時期は環境が悪かった、等の記載を一切していないことからも、そのことがわかります。

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