次期政権の農林水産大臣は日本共産党から(その4)

(連合の最優先課題は自民党政権の打倒)

労働組合の一番の使命は何でしょうか。何といっても労使交渉を通じた賃上げでしょう。

しかし、以下のグラフをご覧ください。各国の実質賃金が過去20年間で10%から40%近くまで増加している中で、日本のみ10%減少しました。(実質賃金とは労働者が賃金として受け取る貨幣額を名目賃金:貨幣賃金といい,それで購入できる消費物資とサービスの量を実質賃金という)

出典:oecd.statより全労連が作成

 

次にOECDの平均賃金の国際比較表を以下で見ていきましょう。

このグラフは各国の平均賃金を購買力平価で換算してドル表示したものです。購買力平価換算とは、物価水準などを考慮した各国の通貨の実質的な購買力を交換レートであらわしたものとなります。

(出典:OECD Data Average wages)

これについては、

 

G7の順位をみてみると米国、ドイツ、カナダ、イギリス、フランス、イタリア、日本の順だ。金額比をみてみると日本は米国の58.7%、ドイツの72%、イギリスの81.8%である。15年時点で日本は韓国やイタリアを上回っていたが、19年では韓国とイタリアに追い抜かれてしまった。(日本の賃金、低すぎる? 国際比較と春闘の推移から考える“豊かな日本の残像”G7の中で最下位 mediaビジネスonline 2021年03月08日 07時00分)

 

という解説がありました。

 

こんな労働組合の存在価値そのものが問われかねないような無様な結果になったその原因は何でしょうか。労働組合が会社側の言いなりでだらしなくなったから? 労働者が怠慢になったから? いずれでもないと思います。労使交渉を通じただけではいかんともしがたい、この20年間における日本の経済政策に大きな失策があったからではないかと思います。コロナワクチンの接種率の外国との比較に似ています。

 

ではこの間日本の政権を担ってきたのはどこの政党でしょうか。そのほとんどの期間が自民党政権でした。ということは、日本最大の労働組合である日本労働組合総連合会(連合)のやるべき最大かつ最優先の課題は何でしょうか。悪しき経済政策を推進し、賃金を下落させた自民党政権の打倒としか言えません。これ以外に優先しなければならないものがあるというのでしょうか。

 

ところが連合に関するニュースは以下の通りです。

 

〇あの有力労組 与党に接近か?

NHK政治マガジン 2020年12月9日

連合会長、立民・共産の連合政権は「まずあり得ない」

産経新聞 2020/12/17 18:08

立・共連立、重ねて否定 連合の神津会長 

時事ドットコム2021年01月05日17時32分

「立憲・共産並ぶ」対談本が発売延期 連合内に反発の声

朝日新聞デジタル 2021年5月26日 19時18分 

連合、立・共の接近警戒 都議選でも不協和音 

時事ドットコム2021年06月07日07時03分

立民・枝野氏「共産と連立考えず」 連合幹部に明言 

時事ドットコム2021年06月17日18時27分

連合会長、共産との閣外協力も反対「連立は意味不明」

時事ドットコム 2021年06月23日17時49分

立民と共産の連携、連合反発「埋められない距離感」…立民ベテランも「過度に近づけばマイナス」

読売新聞オンライン 2021/06/23 23:35

【東京都議選】野党共闘にくさび打つ「連合」と「公明」。立憲は衆院選に勝てるのか?

YAHOOニュース2021/6/30(水) 17:44

 

これらのニュースにおける連合の主張の内容は、

①共産党は民主主義のルールに則(のっと)って運営している組織とはいえない。そういう政党と連立するなんてことは全く意味不明。

②立憲民主党と共産党は先の通常国会で法案の賛否が分かれたケースが多く、安全保障など国家の根幹に関わる政策も異なる。

③立憲民主党中心の政権の予算案に共産党は本当に賛成するのか。それは全くの自家撞着(じかどうちゃく)で、閣外(協力)であってもあり得ない

④立民、国民両党と共産との連携は国会の法案審議にとどまるとの認識

⑤(与党に)漁夫の利を与えたくないが、選挙協力を通じた「トロイの木馬」作戦を警戒。

⑥連合傘下の労組は、民間企業系だけでなく、立民を強力に支持する官公労系まで共産との協力に猛反発している。

⑦共産党系の新聞が立憲東京都連幹事長と共産東京都委員会委員長の対談を掲載。これに連合東京が猛反発

⑧全トヨタ労連が共産と歩調を合わせて政権批判を繰り返す立憲民主党の議員に苦言。全トが与党との政策協議を始めれば、野党に投票してきた組合員に、与党への投票を容認するメッセージになりかねない。自民党は共産との連携が進み労連が反発するのを期待。

⑨法政大の山口二郎教授が聞き手となった、立民と共産の国会議員の対談集が、産業別労働組合(産別)の反発で出版延期。連合関係者は「共産と一緒に本を出すことが、我々や支持者からどう見えるのか」と出版を問題視。立憲幹部もむちゃくちゃ怒っていた。

⑩共産党幹部と一緒に並んだら連合東京に怒られる。「共産党と与しないこと。違反行為がある場合には推薦等の支援を取り消す」連合東京事務局長談話。

 

脈絡なく列記しましたが、まーいっぱいありますね。

 

 このように連合の共産党に対する強い反発は、労働組合組織に属さない多くの国民から見ると奇異に映るとおもいます。同じ労働者の利益という共通の目的をもつ組織間で、なんでここまで共産党に対する憎悪が強いのか。中核派と革マル派の内ゲバとまでは言いませんが、外の人間にはわからないそれなりの理由があるようです。

 

 その一つが、労働組合間での激しかった対立です。戦後の労働組合の離散集合は、ちょっと読んだだけでは覚えきれないぐらいの変化です。それを私なりに簡単に整理しますと、真ん中に旧社会党系組合(総評)、左に共産党系組合、右に旧民社党系組合(同盟)の3つの系譜があったといえます。そこで中と右が合併し1989年11月21日に日本労働組合総連合会(連合)を結成したわけです。これに対抗して左は連合の発足を「労働界の右翼的再編」「反共・労使協調路線」と批判し、なんと連合結成と同じ日に全国労働組合総連合(全労連)を結成したわけです。

 

 また歴史的に見ると、連合の母体となった日本労働組合総評議会(総評)は、GHQの強い意向もあり1950年の結成大会で日本共産党排除を内容とする大会宣言を採択しており、さらにもう一つの母体となった同盟は、連合結成で左翼・共産主義系の組合の排除を認めさせたという経緯もあり、連合には「共産党排除」というDNAが徹頭徹尾貫かれていると言えるでしょう。つまり、連合が共産党に抱くイメージは、一般の国民が共産党に抱くそれよりもはるかに否定的で、骨の髄まで染みついた生理的なものと言えそうです。

 

 そういうことがわかって、上に挙げた①~⑩の連合の主張を見てなるほどと感じるものがあります。それには感情的な反発が多く、具体的な政策として絶対容認できない点は、本来の労働組合の直接的使命とは距離の離れた安全保障くらいのものでしょう。

 

 つまり、連合の主張と日本共産党の目指すところの違いは、ある特定事項を除くとほとんどないようにおもえます。例えば、一つの事例をあげます。以下は連合の綱領です。

(連合の綱領:1989年11月21日統一大会で制定)

1.われわれは、自由にして民主的な労働運動の伝統を継承し、この理念の上に立って労働者の結集をはかり、労働運動の発展を期す。

2.われわれは、つねに社会正義を追求するとともに、「力と政策」を備え、完全雇用の達成、労働基本権の確立、労働諸条件の改善、国民生活の向上を実現する。

3.われわれは、あくことなくよりよい未来に希望をもち、国民の先頭に立ち、自由、平等、公正で平和な社会を建設する。

4.われわれは、労働組合の主体性の堅持につとめ、外部からのあらゆる支配介入を排除し、民主的で強固な組織の確立をはかるとともに、日本労働組合総連合会の強化・発展に努める。

5.われわれは、日本労働運動の国際的責任を深く自覚し、世界平和の達成と諸国民の共存共栄のために努力する。

 

これを日本共産党の綱領を見比べて、連合にはないが、共産党には書かれているある特定事項を除くと、ほとんど相いれない点はないかと思います。

 

なお、この特定事項は「天皇制・自衛隊・日米安全保障条約」などです。しかし、これは共産党がこれを連合政権に持ち込まないとしているので、次回の総選挙では問題ではありません。自民党は選挙戦でここを徹底的に追及するでしょう。しかし、基本政策が大きく異なる政党間の連合政権は、細川政権、村山政権(自民党も参加)の前例があり、問題ではありません。「お前こそなりふり構わず社会党と組んだくせしやがって」と答えれば終わりです。

 

さらに具体的な内容を定めた、連合規約集にある「基本目標」「課題と使命」において、この部分は抵触してくるかもと思われる点を私の主観で以下抽出し、問題点を指摘してみたいと思います。

(基本目標)

11.われわれは、労働界におけるあらゆる独善的利己的勢力に対し、毅然たる態度をとり、分裂工作を自らの力で排除する。

 

(課題と使命)

3「連合」の役割と責任

われわれの「連合」結成への努力を右翼的再編と一方的にきめつけ、教条的な誹謗、妨害をはかろうとする団体、組織に対しては、毅然として対応していく。

 

(基本目標)

13.われわれは、政権を担いうる新しい政治勢力の形成に協力し、政権交代を可能にする健全な議会制民主主義を実現する。

(基本目標11、課題と使命3について)

 これは明らかに共産党を意識している記述だと思います。これは共産党排除を内容とする大会宣言を採択した総評内で、その後共産党が次第に少しずつ影響力を拡大し、社会党を支持する主流派に対し、強力な反主流派を形成するまでになったこと。その後の連合結成時の共産党からの攻撃。などを、念頭に置いて警戒しているものでしょう。

 

 さて、これに対し共産党はどう対応するか。同党の影響下にない労働組合に対する対応については特に言及した記述は見当たりませんが、「野党連合政権に望む日本共産党の基本的立場―政治的相違点にどう対応するか」にある「他の野党とは異なる独自の政治的・政策的立場をもっていますが、それを野党連合政権に持ち込んだり、押し付けたりすることはしません。」を敷衍(ふえん)すれば、そのような警戒される活動を、連合傘下にある組合には行わないことを確約するしかないでしょう。

 

(13について)

これは逆に連合に対する注文となります。「政権を担いうる新しい政治勢力の形成に協力」としていながら、入口から全面的に拒否する対応はいかがかと。私は今回の立憲民主党と共産党の連立政権を、中国の「国共合作」に例えましたが、むしろ連合と共産党との関係は

幕末の薩長同盟に近いのではないか思います。

 

ご存じの通り、薩摩藩は幕政改革路線、長州藩は反幕的路線と両者は相容れない立場でした。さらに薩摩藩と長州藩は「禁門の変」などでの軍事的衝突により、敵対関係は決定的となりました。にもかかわらず、そこで同盟が成立したのは、それまでのやり方では薩摩藩では幕藩改革の展望が開けず、朝敵となった長州藩は窮地に陥りどうしようもなかったからです。

 

連合と共産党の現状も同じではないでしょうか。今までのやり方を継続するだけで、自民党政権下での双方の将来展望が開けるのでしょうか。それまでの独自路線から連合政権参加へと先に路線を変えたのは共産党です。だから今度は連合がやり方を変え、幕府(自民党政権)を打倒する必要があるのではないでしょうか。

 

このまま野党統一候補が実現しなければ、今回もまたバラバラ野党が自滅状態となり、自民党が確実に勝利するでしょう。その時において、自民党政権継続の最大の貢献者が連合だったとなることは間違いありません。先進国で唯一賃金を下げられている国の労働組合が、なぜその政権を継続させるのでしょうか。

 

ネットには、以下のような意見もありました。

連合の対応には、野党共闘を期待する人たちから、SNS上で批判の声も挙がっている。タレントの松尾貴史さんがツイッターで「連合は、もう害悪でしかない。」とつぶやくと、6月末時点で6700を超える「いいね」がつけられた。(YAHOOニュース2021/6/30(水) 17:44)

 

政党と労働組合は基本的に別物です。政党が労働組合を支配するのではなく、逆でもありません。しかし、今、立憲民主党を実質上支配しているのは連合です。連合こそが多くの国民の将来を救えるかどうかの重要な立場にあると思います。「国共合作」「薩長同盟」にならった賢明な判断を切望します。

(7月6日に以下を追記)

 7月4日に行われた東京都議会選において、両党の議席は、日本共産党18→19,立憲民主党8→15となりました。

立憲民主・安住氏 共産との協力「如実に結果出た」(TBSニュース7/5(月) 15:50)によると、以下のとおりです。

 

立憲民主党の安住国対委員長は、東京都議選で行った共産党との候補者調整について「如実に結果は出た。国政でも十分、参考にしないといけない」と述べました。

共産党の小池書記局長も「立憲民主党との間で候補者調整を行ったことが、非常に大きな成果を挙げた」と指摘。衆院選の候補者一本化に向け、立憲民主党などと早急に協議を始めたいとの意向を示しました。

 

まさに、この秋の総選挙は連合の対応に大きく左右されるということが改めて示されたと思います。

 

次回はなぜ「次期政権の農林水産大臣は日本共産党から」と私が思うのかの理由について触れていきたいと思います。

 

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