次期政権の農林水産大臣は日本共産党から(その5)

(立憲民主党が政権を取ると自民党化する!?)

 

今の立憲民主党は、政権交代を成し遂げた当時の民主党とどこがどうちがうのでしょうか。

日本の主な政党の移り変わり(公民Navi最新データー集[政治編]より)

 

上の図は日本の政治の混乱振りを象徴していると思います。自由民主党と日本共産党のみが、政党名を変更せず一貫して存続してきたものの、それ以外の政党はもう「何が何だかわからない」離散集合をとげてきました。あまりにややこしいので、いわゆる「55年体制」以降で、非自民党政権の時にポイントを絞ってみたいと思います。

 

非自民党政権は2回あり、1回目は非自民・非共産連立政権(細川、羽田内閣:1993年8月9日~1944年6月30日)です。自民党が衆議院小選挙区制度改革に関連し内部分裂が原因で下野し、かつわずか10か月間だったので、今の立憲民主党とは関連が薄く省きます。

 

2回目は、民主党・社会民主党、国民新党(途中で社会民主党が普天間基地移設問題で離脱)連立政権(鳩山、菅、野田内閣:2009年9月16日~2012年12月26日)です。3年3か月間でした。この政権交代の中核となった民主党は、旧民主党・民政党・新党友愛・民主改革連合が1998年4月に合流して結成されもので、その後、2003年9月に自由党が合流し、2007年の参議院議員通常選挙につづき2009年の衆院議員総選挙でも勝利して政権を獲得、社民党・国民新党とともに連立与党を形成しました。

 

正直に言って民主党が野党から与党となり再び野党となり今日までに至った経緯については、複雑すぎて何度読み返しても頭に入りません。しかし、私がしつこくそのあたりの経緯を知りたいと思うのは、政権与党時代の民主党と今の立憲民主党とはどこが同じで、どこが違うのかが非常に気になるからです。

 

というのは、民主党が政権与党時代にやったことには、私にとって、期待外れを通り越して、いまだに強い不信感を持っているからです。その不信感とは「日本の野党は政権与党になるとやることが自民党と同じになる」というものです。以前私は、松下政経塾出身者の政党選択について関心を持ったことがありますが、その時に聞いたことは「本音で言えば自民党から出たいのだが、3バン(地盤、看板、鞄)がないので、野党を選ぶしかない」というものでした。

 

そのような動機で野党議員になったとすれば、野党時代の民主党には「反自民」という政策(といえるかどうか)はあっても「反〇〇政策」というしっかりした中身のある政策が期待できず、国の根幹に関わる政策すら簡単に「自民党化」するという点で、まったく信用ならなかったのです。

 

(政権与党時代に民主党がやったこと)

 以下に野党から与党化した時の民主党の政策転換の例を3つ列記しますが、これではそれまでの自民党と同じであり、国民は一体何を期待し2009年の政権交代を選択したのか、今もって理解できないのです。

 

(1)TPP参加表明、第一次産業軽視

 

 私が一番許せないのは、菅直人総理による選挙公約(マニフェスト)にもない、突然のTPP交渉参加表明(2010年11月)です。自民党ですら2012年の総選挙の「約束」で、「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」という(大嘘の)ポスターを張っていたのに、なんで民主党が自民党より先に「平成の開国」などといって、TPP参加を言い始めたのでしょうか。自由貿易が一部の輸出産業以外の多くの国内産業を苦しめてきた現実を全く理解していなかったのです。

 

しかも菅直人総理は、TPPへの交渉参加に向けて「自由貿易を進めるとともに、農業改革を進める」。農業については「このままの状態では将来の展望が開けない。質の高い食品を海外に輸出することができる競争力のある農業をめざして改革を進めていく」とまで言ったのです。加えて、当時の前原誠司外相は、2011年10月に「日本の国内総生産(GDP)における第一次産業の割合は1・5%だ。1・5%を守るために98・5%が犠牲になる」とまで言い放ったのです。

 

国民の生存に欠かせない食料生産を担った第一次産業を、国内総生産(GDP)比率でたったの「1.5%」程度のあってもなくても構わない価値しかないといったのです。例えば、パチンコ・パチスロの市場規模は約23.2兆円(レジャー白書2016)で、これは日本のGDPの約4%に達する規模とのことです。前原外相の価値観ではパチンコは第一次産業の約3倍重要とのことで、いざとなればパチンコ玉を食べていけばよいというのでしょうか。

 

先進諸国の中で最低の食料自給率にもかかわらず、わざわざその国内食糧の輸出促進を政策に掲げるのは、自民党と全く同じです。自民党政権が国内の第一次産業関係者からの「食料輸入を制限してほしい」という要望に応えられないので、2006年6月20日の「農林水産物輸出促進全国協議会」で、小泉純一郎元総理が言った「日本の食べ物はおいしい。おいしいものは売れる。日本で売れるものは世界でも売れるんだ」と言ったのと全く同じです。

 

安全でおいしいものは外国に輸出するので、その代わり国民には「危なくてまずいけど安い」輸入品を食べなさいと言っているのです。ごく一部の高級リンゴを例に挙げ、その輸出で国内の自給率が計算上あがるかのようなやり方は、国民を飢えと危ない食料から守るという物事の本質から目先をごまかすやり方です。

 

私は、菅直人総理が「市民運動家」出身であることをもって、当然政治的には輸出産業ではなく国内産業の立場から政策を判断すると思っていましたが、完全に思い違いをしていました。国の在り方に関する確固たる信念というのがない単なる受け狙いの政治家だったのでしょうか。

幸い「第一次産業など吹けば飛ぶような1.5%」の前原氏は現在吹けば飛ぶような国民民主党所属ですが、菅氏はいまだに立憲民主党に所属しています。

 

(2)消費税の増税

 

消費税の増税については、政権交代時のマニフェストには言及がなく、当時の民主党の鳩山代表は政権を取っても4年間増税しないと明言していました。しかし、菅総理は10%への増税を表明し、野田総理は消費税増税に「政治生命を賭ける」とまで宣言して恥じませんでした。国の政策の根幹に係る政策すら、簡単に「コロリ」と変えるという民主党の典型的事例でしょう。

 

何故、世界の先進諸国の中で日本のみがデフレ経済に陥っているのか。そんな国でやって良いことと、悪いことなど、子供でも分かる理屈です。特に消費税は低所得者や年金生活者に厳しい逆累進性の強い税です。しかも、消費税が増税される一方で、法人税収は減少し消費税収入より少なくなっています。さらに、企業の内部留保を見ると利益剰余金が475兆161億円(2019年度)となり、8年連続で過去最高を更新しています。貧乏人から金を巻き上げることができるのなら、それ以上に金持ちの企業から金を巻き上げることはより簡単なはずなのに、逆に企業に減税しているのです。だから一部の企業と富裕層に金がたまるばかりで、多くの国民による個人消費が伸びず、デフレ経済から脱却できないのです。

 

 貧乏人に厳しく、金持ちにやさしいというこの消費税増税は、自民党と公明党には大歓迎され「社会保障と税の一体改革の3党合意」が行われましたが、一方の民主党内部すらまとめられず、小沢一郎氏ほか50人近い議員が集団離党し致命的な打撃を民主党に与えました。にもかかわらず、国民との約束を破り、デフレの元凶である消費税増税に野田元総理は「政治生命を賭ける」と言ったのです。つまり、基本政策がないゆえに、平気で公約を破る民主党を選択した国民の悲劇と言えましょう。

 

当然ながら野田総理は次の総選挙でぼろ負けし、再び自民党に政権を奪還されました。その後「社会保障と税の一体改革」も反故にされ、8年以上も続く「悪夢のような」安倍・菅政権を築いた最大の立役者といえる野田元総理が、なんと現在の立憲民主党の最高顧問だそうです。もう言葉もありません。

 

3 中途半端な原発政策

 

 2011年3月11日の福島第一原発事故の前後で、民主党の原発政策は大きく変わりました。事故以前までは基本的にそれまでの自民党の政策を踏襲し、2010年6月には2030年までに少なくとも14基以上の原発の新増設を進めるというエネルギー基本計画を閣議決定していました。ここまでは国民のほとんどが信じて疑わなかった「原発安全神話」のもとでは間違った政策だったとまでは言いません。。

 

 問題は、菅直人総理が事故後の2011年7月13日にエネルギー基本計画を白紙撤回し、「原発に依存しない社会を目指すべきだ。計画的、段階的に原発依存度を下げ、将来は原発がなくてもやっていける社会を実現していく」と述べた「脱原発宣言」以降の対応です。

結局、「2030年代に原発稼働ゼロ」への経済界や原発立地自治体による反対で、あとを引き継いだ野田内閣はそれを閣議決定で明確にできず、方向転換を余儀なくされたことです。

 

この時の経済産業大臣が枝野幸男氏です。彼は、2012年4月11日に衆議院経済産業委員会において「原発への依存度をゼロにしたい」と発言しましたが、その後、

→「何年後か分からないが、恒久的に原発依存度をゼロにする」

→「後戻りせず一直線に原発を減らしていく」

→「政府は7月までに大飯原発三、四号機を再稼動させる考えであり、その間原発はゼロになる」

と発言が変遷しています。

 

まさに、国の根幹となるエネルギーの基本的政策がフラフラなのです。このように「言うことがコロコロ変わる民主党」に対し、2012年に入り首相官邸前の原発反対抗議行動が盛んに行われるようになりました。自民党はさぞ面白かったでしょう。

 

その枝野幸男氏こそが、今の立憲民主党の代表なのです。

 

以上、政権与党時代の民主党の政策の変貌ぶりの代表として3点あげましたが、何と言ってもそれ以上に有名なのが、鳩山由紀夫総理による「普天間基地移設問題」のコロコロ振りです。「最低でも県外」は、混乱を起こしただけに終わり、結局は自公政権時代に合意した辺野古移設に戻り、公約は達成されませんでした。

 

私は、この問題に詳しくありません。しかし、いつも思うことがあるので、すこし横道に入ります。米国とは同盟関係は結んでも、恒常的に米国軍に駐留してもらわないと、自国の安全を守れないような国は真の独立国家ではないと思います。そんなだらしのない時代は、縄文時代以降の日本には今を除きありません。建国以来たった一度の敗戦で「自分の身は自分で守る」という日本人としての誇りと自信を失ってしまうのは絶対間違っていると思います。

 

昔、モスクワ大使館赴任前のロシア語研修で、戦後ソ連に抑留されていた外務省OBの教官から聞いた話です。同じ収容所にいたドイツ人が、「次は勝つぞ」と敗戦にもあっけらかんとしていたのに比べ、日本人は一度の敗戦で、この世がすべて終わってしまったかの如く、進んで共産主義に洗脳されていったそうです。

 

日本はGDP世界第3位の国です。その経済力をもってすれば、必ず米軍基地は「最低でも国外」が十分可能だと思います。でなければ、日本より経済力が低い世界のほとんどの国は米軍に駐留してもらわなければ自国の安全が守られないことになります。この鳩山総理の失策が示唆するのは、物事にはそれを達成するために必定な手順と時間が必要となることではないでしょうか。手順を踏まず、急ぎすぎたから失敗しただけです。あとは勝負どころではリスク覚悟で国の命運をかける度胸ではないかと思います。鳩山総理にはその度胸がなかったのです。外国軍を国内から追い出すことは何年かかろうが、日本がアメリカの属国でない日本であるためにも絶対達成しなければならない最重要課題だと思います。アメリカと本気になって交渉できる政党は共産党くらいでしょう。

 

共産党の理想とする社会・共産主義社会の達成も同じでしょう。もうそれを実質上達成してきた日本の漁村に住んでいる私から見れば、生産手段を共有する共同体主義への移行は、限界を迎えた資本主義の先にある姿として正しいと思います。だから、手順と時間をかけて、まずは立憲民主党との連立政権を実現してほしいのです。

 

なお、幸いにもコロコロ変わった鳩山由紀夫氏は、政界から引退し、立憲民主党所属ではありません。よかった!

 

(自民党以上に権力主義だった民主党)

2019年の7月に行われた前回の参議院選挙の少し前のことです。業界団体の会議で自民党からの候補者を推薦するという話がありました。これは選挙の度の恒例のようなもので、特に議論もなく終了しそうになったので、ここは黙っておれないと、私から「自民党は漁協から海と資源を取り上げ、企業に渡そうとする漁業法改悪を行おうとしている。そんな政党からの候補者を推薦するなどは自殺行為に等しくおかしいのではないか」と発言しました。

 

これには皆さん困ったような顔をして、しばらく黙ったまましたが、ある者が以下のような発言をしました。

 

「民主党が政権与党となったあの時の苦い経験がある。地元選出の民主党議員に陳情書を提出したら、『なんで直接要請に来ずして、紙切れ1枚をFAXでよこすのか』と議員事務所からの電話で怒られた。当方としては、それまでのやり方を踏襲しただけで、決して民主党だからと軽んじたわけではなかったのに。それに比べ今回出馬する自民党の議員は、いつも私たちの要望には丁寧に対応してくれている。だから議員個人の人柄に着目し応援したい。」

 

これは政策論ではなく完全に感情論です。しかし、あの時の民主党の横暴ぶりがその後も大きな禍根をのこしていることを実感しました。それは当時の民主党の小沢一郎幹事長が、「政官業の癒着の排除」という理由から、政府への陳情の窓口を党に一本化したことが背景にあります。表向きの理由は一理あるとも言えますが、逆に、本当の狙いは陳情処理を党に一元化することで各自治体の首長や業界団体の取り込みをはかることが狙いでした。

 

これに対して野党の立場であった自民党は、以下のように指摘しています。

○請願・陳情窓口の一元化

憲法第16条は、何人も「平穏に請願する権利を有す」るものと規定し、請願法第5条は、「請願は、官公署において、これを受理し誠実に処理しなければならない」と規定している。

陳情は、請願を補完するものであり、憲法・請願法の趣旨に照らせば、国民が政府に対して陳情する権利は、保障されるべきものである。

民主党が行ったように、一政党が何らの法的根拠もなく、国民が陳情のために政府に接触することを制限するのは、憲法の趣旨に反するものと言わざるを得ない。

特に、地方自治体や地方議会からの要望の途が狭められ、国民全般の声を国政に届けることが大幅に制約されたことは、政権専横・政治の私物化に他ならず、国政に大きな混乱をもたらす原因となった

(民主党政権の検証― 迷走の3年を総括 2012年8月 参議院自由民主党 より)

 

のちのモリ・カケ・サクラ「政権専横・政治の私物化」自民党政権としては「おまいう」の典型(笑)ですが、この民主党の権力的なやり方も間違っていたといえるでしょう。その小沢一郎氏は今も立憲民主党に所属しています。

 

(注)「おまいう」の意味

「お前が言うな」というフレーズを略したネット用語。 自分のことを棚に上げて相手を批判したり注意したりする人に対して、「いや、お前が言うなよ」と伝えたいときに「おまいう」と言う。

 

(なぜ、「次期政権の農林水産大臣は日本共産党から」なのか)

 

今の立憲民主党は政権与党時代の民主党とは同じではないでしょう。しかし、以上から見てわかるように、当時の主要メンバーが今も残っている限り、「立憲民主党が政権を取ると自民党化する!?」可能性は大いにあると思います。その根本原因は政策に確固たるものないからです。いつまた180度政策を転換するかわかりません

 

例えれば、全身脂肪だけでできた軟体動物のような政党です。時の環境(世論や外圧)によってどうにでも変態しかねません。よって、そうならないためには、骨と筋だけでできた硬骨動物の共産党が閣内にいて、軟体動物の立憲民主党に連立政権の政策協定を、最後まで守らせるようにしてほしいのです。詳しくは次回に回しますが、現場に疎く都会派議員の多い立憲民主党の農林水産政策は、ともすれば机上の理屈で受けの良い規制改革路線に傾きかねない恐れがあります。よって、あの宮城県の水産特区の時のように、途中で腰砕けになった民主党ではなく、最後までぶれることなく反対を貫いた共産党から農林水産大臣を当ててほしいのです。

 

次回は、立憲民主党の農林水産政策について考えていきたいと思います。

 

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