次期政権の農林水産大臣は日本共産党から(その6)

(立憲民主党の農林水産政策について)

野党連合政権が実現すれば、その中核となる立憲民主党の第一次産業政策が大きな位置づけを持ってきます。そこで、今回は同党の「綱領」(2020年9月15日)、「基本政策」(2021年3月30日)、「農山漁村の未来ビジョン」(2019年3月14日)から、気になるところを抜粋し、コメントしてみたいと思います。

 

(綱領の1基本理念から)

 立憲民主党の綱領の基本理念の冒頭に、

(綱領)

立憲民主党は、立憲主義と熟議を重んずる民主政治を守り育て、人間の命とくらしを守る、国民が主役の政党です。

とありますが、私はこの「熟議」という言葉に強く惹かれました

「熟議」とは、「多くの当事者による『熟慮』と『討議』を重ねながら政策を形成していくこと」を意味します。まさに、政権与党時代の民主党は、「熟議」の真逆であり、突如として青天の霹靂のように新政策が落ちてくることが多くありました。過去の政治でその典型と言えば、細川内閣時代の午前1時に会見を開いての「国民福祉税構想」の発表といえましょう。おそらく、当時の細川総理には、睡眠中に突然の神のお告げでもあったのでしよう。でないと、国民が寝静まる真夜中の1時にそんなことを発表するとは、この総理は気がふれてしまったとしか思えませんから。

 

立憲民主党が再び政権与党となっても、そこまではやらないでしょうが、また普天間、TPP、消費増税の時と同じようなことをやりかねません。よって、自戒の念を込めて基本理念の冒頭で「熟議」を打ち出したのは、非常に良いことだと思います。ただし、「熟議」の意味するところを、より具体的に定義してもらいたいと思います。

 

私が期待するのは、選挙公約になかった新たな政策については、「熟議」せずして打ち出すことは決してしないという国民との約束です。公約になかった新政策は、反対意見も含んだ幅広い国民の意見をもとに、政策の選択肢ごとの功罪を評価するという、まさに「熟議」を踏まえたうえで打ち出すことです。それを次期選挙での公約に掲げ、その後の選挙で勝利した後に、実行に移す。要約すれば「熟議」→「公約」→「実行」の手順を堅持すべきだと思います。

 

そうすることで、次期野党政権の維持にためにおいて以下の二つのメリットが生じてくると思います。

 

(1)野党連合政権への信頼が確保できる

過去8年間余、不祥事だらけの腐敗しきった自民党政権でも維持できたのは、分裂野党では国民の選択肢になり得なかったことに加え、あの時の民主党がやった、公約は果たさない一方で、公約にないことは突然やり始める、という信頼性の欠如があったのではないかと思います。

 

原発事故など緊急事態にたいしては、「次の選挙公約でどうするか訴えます」などはありえないので、緊急に新政策を打ち出す必要があります。しかし、自由貿易への対応や、消費税のあり方など国民生活に大きな影響を及ぼす基本政策については、その問題点を提示し、多方面からの議論を積み上げて、その解決方策を見出していく「国民とともに考える熟議政権」であるべきでしょう。世界中の国民にとって、コロナ禍を経験した後の政治のあり方は、これまでの延長線上にはなく、相当な時間をかけた国民的な大議論を経て生まれる気がしますのでなおさらでしょう。

 

鳩山政権下での米軍普天間飛行場の移設、菅政権下でのTPP交渉への参加表明、野田政権下での消費税増税は、いずれも選挙公約(マニフェスト)には明記されておらず、国民に約束したことではありませんでした。この3つの余計なことさえしなければ、民主党はわずか3年余で政権を失うことはなかったと思います。もったいないことをしました。

 

まさに国を担うべき確固たる信念がないおもいつきの政策が、自滅の道を開き、その後8年余の「悪夢のような」に2乗をかけた安倍・菅政権を復活させたのです。そこで、今後は

①できないことは約束しない。

②約束したことは絶対にやる。

③約束になかったことは絶対にやらない。

この「3つの約束」を次期総選挙前に国民に対し明言しておく。これこそが、次期総選挙において共産党を含む野党連合政権にたいし、国民の信頼を確保する必須要件だと思います。

 

(2)自滅を避けることができる

 

 特に野党連合政権は、もともとの政策が異なる中での、妥協の産物です。ともすればちょっとした政策の違いでもその枠組みが瓦解しかねない危うさを抱えています。そのようなガラスのように壊れやすい舞台の上で、突然「政治生命をかけたタコならぬドジョウ踊り」を始めるのは、まさに愚の骨頂です。なりふり構わず政権にしがみつく自民党の執念と比較し、民主党はあまりにも幼い自滅必然型政治集団であったといえましょう。

 

次期野党連合政権では同じ愚を繰り返すことがないようにするために、特に注意が必要な人物は小沢一郎氏だと思います。彼の政治経歴は幼いとは正反対ですが、その過去を見ると政権を作っては壊す持病がありますので、必ず次期野党政権においても自滅崩壊の要因になると思います。よって、任期の4年間は政権合意の枠組(公約)から外れたことはしないことを発足時に徹底すべきでしょう。

 

(原発政策・汚染水海洋放出について)

(綱領)

私たちは、地域ごとの特性を生かした再生可能エネルギーを基本とする分散型エネルギー社会を構築し、あらゆる政策資源を投入して、原子力エネルギーに依存しない原発ゼロ社会を一日も早く実現します。

(基本政策)

・原子力発電所の新設・増設は行わず、すべての原子力発電所の速やかな停止と廃炉決定をめざします。

・東京電力福島第一原子力発電所事故の検証や、実効性のある避難計画の策定、地元合意がないままの原子力発電所の再稼働は認めません。

漁業が直面している深刻な問題の一つが、福島第一原子力発電所からの放射能汚染水の海洋放出です。ここにはありませんが、立憲民主党は、「ALPS処理水の海洋放出決定について(談話)立憲民主党代表 枝野幸男 2021年4月13日」において「被害を受ける漁業関係者をはじめとする全ての国民の意見を真摯に受け止め、海洋放出について再検討を含めた対応を早急に図るべき」としています。しかし、肝心な「放出反対」と明言していません。事故が発生したのは立憲民主党の前身の旧民主党政権時代ですので、はっきりとした言い方ができないのでしょうか。

 

 一方、共産党は明確に「放出反対」であり、衆参の国会議員や各県の共産党委員会、県議団が放出反対を表明し、国会の委員会でも代替案を検討するよう政府に申し入れをしています。代替案について、私は十分その手段と可能性はあると考えています。というのは、海洋放出だけが処理汚染水処分の唯一の方策ではなく、石油備蓄のような大型タンクの設置やコンクリートで固めるモルタル固化処分、濃縮分離処理、深層貯留法などの代替案も示されています。特にこれまでは、議論の対象になっていなかった最後の深層貯留法は、最も現実的な方法のようです。

 

自民党政府は海洋放出ありきで、代替案についての真剣な検討や、広く漁民や市民に公開された納得いく説明会の開催を怠ってきました。説明会を開らかないのは、代替案を真剣に検討していないことがあきらかになり、逆にその現実性を指摘されるのを回避するためでしょう。

 

よって、次期野党連合政権には、

①海洋放出は選択肢にしない。

②代替策についてはその次の総選挙までの4年間の任期中に結論を出す。

③その間はすぐにでも取り掛かれる大型タンクの増設で暫定対応する。

を何としてでも政策協定において確約してもらうことを切望します。そうしない限り、電力会社の労働組合を抱える立憲民主党が与党になれば、「海洋放出やむなし」と腰砕けになる可能性が高いので、そうならないように共産党に止めてもらう必要があります。

 

幸い全国の漁業者が一致して「海洋放出断固反対」を貫いています。自民党政府の「漁業者の理解なしに放出しない」という約束がほごにされた怒りからして当然のことです。よって次期総選挙においては、約束を破った自民党政権を倒し、政権交代を目指すことを全国の漁民が一致して明確に世に示すことが絶対的に必要だと思います。

 

(規制改革について)

(綱領)

(エ) 人を大切にした幸福を実感できる経済

・私たちは、公平に開かれた市場の中で、目先の効率性だけにとらわれずに、人を幸せにする経済をめざします。

これだけでは新自由主義による規制改革路線を明確に否定しているのかどうか、はっきりしません。むしろ立憲民主党の議員の中には「公正に開かれた市場」とか「改革」という言葉のイメージに引かれ、宮城県における水産特区の時のように、またもや、ふらふらとついていくのではないかという心配があります。規制改革とは口先ばかりで、一部の人間だけを富ませてしまう結果しかもたらさなかったという事実を改めて認識してほしいと思います。

 

よって、そうならないように、過去の安倍・菅政権下において、国家戦略特区や規制改革推進会議などが主導した改革(以下「安倍・菅改革」)をいったん、そのすべてをそれ以前に戻す一括法案を早急に提出することを政策協定で明確にしてほしいのです。もちろん、安倍・菅改革の中には8年間の社会経済情勢の変化に合わせ、必ずしも否定すべきではないことも含まれているかもしれません。

しかし、8年余というあまりにも長期間にわたるあまた多くの改革を、短期間でレビューし、その善悪を見分けることは到底不可能です。よってこれがベストとは言えませんが、まずはその毒牙を一刻も早く抜くため、いったんすべて改革前の制度に戻すことを政治の最優先課題とすべきです。

 

そのうえで、任期の4年間をかけて、8年余の安倍・菅改革を一つ一つレビューし、国民とともに「熟議」していこうとするやり方を取るべきと思います。「政権を取ったぞー、目立つことやりたいなー、政治生命かけたいなー」という思い付き政策の連発で自滅した過去の失敗をくりかえすことはやめなければなりません。

 

8年余にわたる悪政の数々は、それをもとに戻すだけでも大変な政治的労力を要しますが、日本の政治がどうしてこんなひどい状態になってしまったのかと振り返る、その過程においておのずと新しい政策や政治のあり方も出てくると思います。それがその次の総選挙での公約になります。安倍・菅政権の負の遺産は、ある意味で反面教師的に利用すべき貴重な財産ともいえます。そのレビューを通じた「熟議」、これこそが国民の関心を引きつけ共に考える、説得力がある政策の打ち出しにつながり、野党連合政権の長期安定化にも役立つと思います。

(綱領)

・私たちは、「人への投資」を重視し、過度な自己責任論に陥らず、公正な配分により格差を解消し、一人ひとりが幸福を実感できる社会を確立します。

・私たちは、食料やエネルギー、生きるために不可欠なサービスなどを確実に確保できる経済をめざします。

この部分の記述は、コロナ禍終息後の社会・経済のあり方にも通じる非常に重要な課題だと思います。この綱領は2020年9月に制定されたもので、すでにコロナ禍の中にありました。しかし、その当時とは比較にならない感染の拡大による社会経済の混乱を目の当たりにして、ここに記載されているような生易しいものではなく、これまでの政策を根本から見直すことが求められていると思います。

 

わたしは、 水産経済新聞のコラム(2020年5月29日)で、「新社会経済様式」との見出しで、コロナ後の社会経済のあり方について以下のような意見を述べました。

 

「3密」ならぬ「3集」の回避

一つ目は「人口集中」の回避。人口が多いと感染者も多いのは当たり前であるが、問題は人口当たりの感染者比率が明らかに都市部の方が高いこと。これからは都市部から地方に人口を移動させる経済分散政策(エコノミーディスタンス)の必要がある。テレワークやTV会議はその促進手段となったと思う。

2つ目は「富の集中」の回避。「コロナ禍」は明らかに低所得者層に深刻な打撃を与えている。経済格差が大きくなった社会はパンデミックに弱い。よって、その原因となった市場競争主義の規制改革やグローバル主義は転換する必要がある。

3つ目は「権限の集中」の回避。コロナ対策をめぐる中央と地方の政治の動きを見て、地方の知事の頼もしさを感じた方も多いであろう。長期政権の下、中央は地方の意思を無視して、種々の改革を思うがままに強行してきたが、PCR検査数を見てもコロナにはその手法が通じず、もう最後は地方に対応を丸投げしたように見えた。

以上、コロナ後の新社会経済様式とは、外国や中央への依存から地方自立への政策転換ではないかと思う。

 

よって、綱領にある「公正な配分により格差を解消し、一人ひとりが幸福を実感できる社会」の実現だけでは抽象的なことから、より具体的に「富の集中の回避」のための政策として、市場競争主義の規制改革やグローバル主義からの転換を図ることを具体的に明記すべきと思います。

 

さらに「食料やエネルギー、生きるために不可欠なサービスなどを確実に確保できる経済をめざします」のうち特に食料については自給率を上げるため、全国各地で耕作放棄地を作り出した元凶である食料輸入拡大の自由貿易協定からの離脱を打ち出し、明治維新後の日本の歴史の流れをひっくり返すくらいの「外国に依存しない」という政策への大転換が必要でしょう。

 

実は、立憲民主党基本政策 2017 年 12 月 28 日版には「自由貿易体制の発展にリーダーシップを発揮し、多国間・二国間での経済連携については、 日本の利益の最大化を図ります。 国際的な人的・物的交流が円滑に行われるよう、経済社会活動の基礎となる法整備を進めます。」がありました。これは完全に自由貿易体制は善としてこれを推進するとしています。直近の2021年3月30日版の基本政策からはこの記述がなくなりましたが、では、自由貿易体制に日本はどう対応していくのかについては、全く記述がありません。まさにこの基本的な政策において迷いや揺らぎがあるように受け止められます。

 

一部の者を豊かにし、多くの国民を貧しくさせた自由貿易やグローバル化からの撤退という政策の大転換ついては、次の4年間に「熟議」して、その後の総選挙における公約として明確に打ち出す必要があると思います。いきなりでは鳩山政権での普天間飛行場の移転の二の舞になりますから。

(綱領)

私たちは、政官財のしがらみから脱却し、現実的な未来志向の政党として、政治と行財政の適切な改革を着実に実行します。

以前から気になってしかたがないことがあります。

それは政治の世界において、使用される言葉の持つ本来の意味とそれにより実際に行われる政策が必ずしも一致しないということです。いわゆる、言葉によるイメージづくり、ごまかし、もっとはっきり言えば詐欺的な利用です。

 

例えば、ここにある「しがらみ」と「改革」を例に挙げます。しがらみとは一般的には「引き留め、まとわりつくもの。じゃまをするもの。」を意味し、よくないイメージです。しかし、もう一方の意味として「水流をせき止めるために、川の中にくいを打ち並べて、それに木の枝や竹などを横に結びつけたもの」もあり、決して悪い意味ではありません。綱領にある「政官財のしがらみ」といえば、だれが読んでも利権を目的とした「政財官の癒着」というようにとらえます。

 

では、弱者救済を目的にしたと「政管・市民団体のしがらみ」としたらどうでしょうか。まさに強者による富の収奪から弱者を守るための「くいを打ち並べて、それに木の枝や竹などを横に結びつけたもの」となり大いに結構な「しがらみ」となります。私の言いたいことは、「しがらみ」と言っても善悪いろいろあり、しがらみの関係者とその政策の具体的内容を言わずして、言葉の持つイメージだけをもって国民を誘導するなということです。

 

次は「改革」です。私は「改革」という言葉を聞くと、反射的に「詐欺師の常套句」と捉え非常に悪いイメージを持っています。それは、いうまでもなく「規制改革」からきているのですが、一般的にはそうではないでしょう。本来の意味は「社会の変動や危機に対応し,あるいは適合するように社会的,経済的,政治的諸制度や諸組織,諸政策などを部分的に改善することをいう。(ブリタニカ国際大百科事典) 」や「従来の制度などを改めてよりよいものにすること。(デジタル大辞泉 、GOO辞典)」で、あくまで「善」を意味しています。

 

しかし、規制改革がやってきたことを見ると「改革」は「改悪」を意味し「改善」の真逆です。今後辞書が改訂されるときには「改革」の意味として「一部の者の利益のために制度を改めること。実質的な改悪」が追加されるでしょう。ついでに言えば、だれが見ても改悪なのにそれを「漁業法改正」というのもおかしな使い方です。すくなくとも行政の世界では、善悪を付さない「法律改定」に統一するべきでしょう。

 

さて、どうでもよい言葉尻をとらえ、些末なことで横道に入ってしまいましたが、言いたいことは、立憲民主党の要綱の中にも記述があいまいでどうにでも取れるものがあることです。確固たる信念に裏付けられるべき政策を、どうにでも取れるイメージ先行の言葉で曖昧にしてはダメです。その具体的事例をあげます。

 

最近ネットで見た動画「ワクワクする総選挙!福山哲郎(立憲民主党)【山田厚史のここが聞きたい】2021/08/06」で、福山幹事長は、「(主張が)ぼんやりしてる方が左右幅広に支持される」と言いました。まさに私が言いたいのは、このことです。「ぼんやり」している方が票が入るなどを考えること自体が国民をバカにしており、以前の民主党と同じく政党として幼稚なのです。

 

この動画のコメント欄を見ると「福山氏からは次期総選挙で政権を取るという気概が全く伝わってこない」が多くありました。私もそういう受け止め方をしました。さらに、福山氏は共産党との連合政権を一言の元に否定しました。そんなことで、支持率5.8%の立憲民主党が支持率33.7%の自民党(2021年5月10日調査NHK)にどうやって勝つのでしょうか。単独では支持率に6倍もの差がある自民党に勝てるはずがありません。もう、開いた口がふさがりませんでした。

 

仮に、野党が勝利しても、こんな幹事長のいる立憲民主党では、政権が維持できないと思いました。また政権与党時代の民主党と同じ道をたどるでしょう。やはりここは、骨と筋だけでできた政治プロ集団の共産党が閣内に加わり、相変わらず「ぼんやりした」政党に気合を入れていただくしかありません。

(農山漁村の未来ビジョン)

我が国の農林水産業は、国民の生命と生活を守る基盤です。

すなわち農業及び水産業は、国民が生きるために不可欠な食料を安定的に供給するとともに、国民生活の安定に欠かすことのできない国土・自然環境の保全、集落の維持・発展並びに文化の伝承等の各般にわたる機能を発揮しています。

いよいよ第一次産業政策についてです。この部分の記述については全くその通りであり、このような考え方で政策を実行していただけるのは大変ありがたいことです。

 

これまでボロクソに与党時代の民主党の失政を指摘してきましたが、当時の民主党の政策として今日まで評価できるのは「農業者戸別所得補償制度」だと思います。これはその後自民党政権により廃止されましたが、このような政策はフランスやスイスなど欧州では本格的に導入されており、地方と第一次産業を支えるために多くの貢献をしていると聞いています。よって、次期野党連合政権においては、東京大学の鈴木宣弘教授が常に主張されているように、日本でもその政策を欧州並みに充実されることを期待したいと思います。

 

なお、心配は第一次産業を国内総生産(GDP)比率でたったの「1.5%」と軽視発言した前原誠司氏のような議員が立憲民主党内に潜んでいる恐れがあることです。それがまた顕在化してこないように、この政策をしっかり堅持してもらいたいと思います。このことについては、同じ「立憲民主党農山漁村の未来ビジョン」の「(重点施策2)<家族農業を守る>農業者戸別所得補償の復活」でも触れられおり、心配しないでよいと信じます。

(農山漁村の未来ビジョン)

いま国連では、家族農業や協同組合などの重要性を積極的に評価し、食料の安定供給とそれを支える自国の農業の持続的経営を支える国内政策を推進しています。

このことに言及していただけたのはありがたいことです。

というのは、「企業が漁業を救う、その邪魔をする零細漁家は障害として排除する」という自民党による規制改革路線の下で、新(改悪)漁業法が制定されたからです。しかし、この新(改悪)漁業法は、  

〇国連海洋法第61条の「TACを決定するにあたり、経済上の関連要因(沿岸漁業社会の経済上のニーズ)を勘案」                 

〇WCPFC(中西部太平洋マグロ委員会)条約第5条(h)の資源管理において「零細漁業者及び自給のための漁業者の利益を考慮に入れること」   

〇FAOの「責任ある漁業のための行動規範」第6条18の「沿岸小規模漁業の重要性を認識し、漁場及び資源への優先的アクセスを確保するべき」     

〇持続可能な開発目標(SDGs)14.bの「小規模・沿岸零細漁業者に対し、海洋資源及び市場へのアクセスを提供する」

などの国際条約をことごとく無視しており、憲法第98条第2項「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」の明白な違反です。

 

よって、これらの国際法を新たな政策に取り込んでいただきたいのですが、その具体策は今後の4年間のうちに「熟議」していただいて結構です。それよりもまずは新(改悪)漁業法の廃止と前漁業法・TAC法の全面復活の即時実施が絶対的に必要となります。立憲民主党も新(改悪)漁業法の国会採決においては、反対票を投じておられますのでぜひこれをお願いします。これは最初の通常国会で実現していただきたいと思います。

 

なぜなら、新(改悪)漁業法にもとづく、新資源管理のロードマップなどの押しつけが全国で強行されており、県庁や漁協系統団体、漁業現場は大変困っているからです。この体に回りつつある毒を直ちに抜き取るための緊急手術をしなければなりません。

 

この法律改正(ここはあえて改正とします)作業は、規制改革の言うままに振り回された国の役人も喜ぶはずです。なぜなら、新(改悪)漁業法への改定の際の、新旧対照表の上段と下段を入れ替えるだけで済むからです。この作業はパソコン上でのマウスのポチポチ作業で1日あればできます。政省令も通達も同じです。この法律の施行も国会での法律成立後ただちに実施できます。また、国会への提案理由書には「事前に利害関係者である漁業関係者の意見を聴取するという民主主義の手続きを経ていない法律であるから従前に戻す」と書くだけで、法案の中身に関する議論など全く必要がないからです。もちろん国会審議も一日で済みます。

 

その時の国会審議で、野党となった自民党が四の五の言ったら、「今後、自民党政権下での政策レビューを徹底的にやりますので、ぜひその場に出てきて発言ください」で十分です。誰も出てきませんから。なぜなら、そもそも新(改悪)漁業法の必要性を言い出したのは、自民党の中でさえ、わずか二人の規制改革議員以外誰もいなかったといわれているのですから。

 

めちゃくちゃな新漁業法が成立したのは、官邸1強体制の下、物言わぬ議員ばかりの与党だったからです。これはこの8年余に成立した法律のほとんどに言えることであり、自民党議員は法律の中身についてまともな議論などしてきていません。それを全部ひっくり返されても、野党の立場になった自民党議員では、新政権との間の議論では、到底太刀打ちできないと思います。

(農山漁村の未来ビジョン)

私たちは家族農業や協同組合を重視し、多様な農業を維持・発展させていくためにも、国内一次産業・農山漁村の崩壊につながる、市場原理主義や行き過ぎた自由貿易交渉に反対します。

前半は全くその通りだと思います。

しかし、後半の記述では、前半の政策の維持発展につながりません。まず、「国内一次産業・農山漁村の崩壊につながる」とは、今を基準として今後において「つながる」と読めます。そうではなく、すでに「崩壊につながっており、継続中」です。だから、単に反対ではなく「・・の崩壊につながった、市場原理主義のもと行われた改革の全面的是正」と明記しなければ、発展はもちろん、現状維持すらできません。

 

また、「行き過ぎた自由貿易交渉に反対」では「行き過ぎない程度の自由貿易交渉ならOK」と受け止められます。そうではないでしょう。この自由貿易こそが「国内一次産業・農山漁村の崩壊」をもたらした最大の要因です。よって、その政策を大転換し、「第一次産品の輸入削減に向けた制限貿易交渉を開始する」にまで言及しないと、どうして今後「維持・発展」ができるのでしょうか。

 

おそらく、この「ぼやっとした」記載ぶりは、立憲民主党の主要支持団体である連合の傘下にある自動車などの輸出産業労働組合を配慮してのことだと思います。「ぼやっとした」方が、どちらからも票をいただくためによいと思っているのでしょう。しかし、先進国最低の食料自給率となった現在、コロナ禍を経験してワクチンの二の舞にならぬよう食料も国内生産の重要性を国民は痛感されたことと思います。もういい加減、輸出条件の緩和のために国内第一次産業を犠牲にするのはやめて、少しは輸出産業自らも負担を負うべきです。

以上から上記の記述は、

私たちは家族農業や協同組合を重視し、多様な農業を維持・発展させていくためにも、国内一次産業・農山漁村の崩壊につながった、市場原理主義のもとで行われた各種改革の全面的是正と、第一次産品の輸入削減に向けた制限貿易交渉を開始します。

とすべきだと思います。

(農山漁村の未来ビジョン)

③漁村地域の活性化

沿岸漁業、養殖業等への新たな企業参入については、地元漁業協同組合が中心となって地域社会の意向を取りまとめた上で、決定する仕組みを導入します。

④漁業協同組合の役割と体制・機能の強化

漁村地域の中核的組織として漁協が行う各種事業の役割と意義を踏まえ、必要な経費負担の在り方、各漁村において地域組織が果たすべき役割等を検討しつつ、漁協組織の体制・機能の強化に取り組みます。

次は漁業関係の政策です。冒頭からいきなりですが、上記の二つの政策の下線部は、立憲民主党の施策としては極めて不適切だと思います。なぜなら、上記の政策の念頭には規制改革による漁協改革があり、それを前提として実質上の追随政策となっているからです。つまり、規制改革の行う漁業改革が正しいのか、間違っているのかを明確にせず、漁協に与える影響が最小限になるような条件闘争ともいえる内容を政策に掲げているからです。

 

このブログで何度も触れてまいりましたが、そんな仕組みの導入や検討をする必要が全くないことを改めて主張したいと思います。

 

そもそも漁業に関する規制改革は、安倍総理が「『世界で一番企業が活躍しやすい国』を目指す。聖域なき規制改革を進める。企業活動を妨げる障害を、一つひとつ解消していく。これが、新たな規制改革会議の使命」という国会での発言に基づき、開始されたものです。

よって、規制改革は企業の養殖業への参入の障害となっている漁協を何とか排除しようとするために都道府県に対し、新(改悪)漁業法制定以前から、技術的助言を違法に利用してきました。

 

 まず、③にかかる事実関係ですが。前漁業法下にあっても全国各地で多くの企業が地元の漁協の組合員となり、養殖業に参入しております。むしろその方が零細漁業者と横並びの扱いを受けメリットがあるからです。にもかかわらず、法律にその規定がないのに、規制改革が水産庁に圧力をかけ、技術的指導の中に明らかに企業側に有利な条件での参入を図るための記述を盛り込ませたことが、中立的立場にあるべき行政としては不適切ということです。

例えば、水産庁が2017年6月9日に発出した「漁場計画の樹立について(技術的助言)」では、

 

6.養殖業への円滑な新規参入の促進(要約)

・水産基本計画において漁業者が企業との連携を図っていくことは重要とされている。

・地先水面を総合的かつ高度に利用するため、組合等と調整しながら、企業等の新規参入が円滑に進むよう留意

・この際、新規参入企業等のニーズと地元地組合等との間の仲介・マッチングに積極的に取り組むことが重要。

 

としています。

しかし、企業の参入は地元漁業者にとって、漁場を占有されるというデメリットと企業による生産活動が地元にもたらすメリットという両面を有しています。よって、当事者間で話し合いをするべきものであり、中立的立場にある行政が企業の肩を持ち漁協に圧力をかけるのは偏向しているということです。

 

次に、④についてです。

これも「漁場計画の樹立について(技術的助言)」(2017年6月9日)の「5.漁業権管理費及び漁業権管理費以外の支払金の徴収に関する透明性の向上」を念頭に置いていると思います。

 

地元漁協に1円たりとも負担金を払わず、勝手に海を使いたい企業の利益代弁者である規制改革が、技術的助言を違法に利用し地方に発出したものです。技術的助言は法律の解釈・運用の一つの例を示すに過ぎません。よって、この場合地方が守らなければならならないことは、漁業権行使規則において組合員が遵守する事項を定めること、また、その行使規則は組合総会で議決せよ、という手続きだけであり、その行使規則の中身については、法律では全く規定しおらず、それは地方が判断すればよいことです。

 

規制改革の真の目的は、組合潰しです。にもかかわらず、立憲民主党が規制改革に迎合し、違法な技術的助言に従い、漁協つぶしに加担するのでしょうか。この記述部分の冒頭の見出しが「漁業協同組合の役割と体制・機能の強化」となっていますが、中身は逆です。これでは、宮城県水産特区の導入の時と同じで、結局規制改革の応援団になるのでしょうか。共産党のように現場で実際に漁業者と話し勉強すれば、知らない人には社会受けする上っ面のきれいごとで真の目的を隠している規制改革の言うことに惑わされることはないと思います。

 

とにかく政権交代が起これば、直ちに規制改革推進会議も廃止され、8年余に渡りに彼らがやった悪だくみを受けた技術的助言の該当部分は、直ちにすべて削除されますので。以上から、③と④の該当部分は削除すべきだと考えます。

(農山漁村の未来ビジョン)

⑤水産資源の活用と管理

我が国は、面積で世界第6位となる広大な領海及び排他的経済水域を有し、生物多様性の高い豊かな海を有しています。近年における我が国漁業生産量の大幅減少の原因は、マイワシ資源の自然環境の変化にともなう減少並びに国際的200海里時代の到来によるところが大きく、これらの地球規模での環境・資源の変動、国際的な資源管理の取り組みの変化に即応し得るよう、漁業経営安定対策を拡充整備します。また、我が国の漁業制度は、操業海域における漁業資源の特性および各地域の輻輳する漁業形態に即してきめ細かく定められており、先人たちの経験と苦労と知恵の結晶であると考えます。従って、各国漁業とともに操業する海域に生息する水産資源の利用については、国際合意に基づき、必要に応じてアウトプット・コントロール(産出量規制)による資源管理を導入しても、我が国周辺海域の水産資源、特に沿岸の資源については、漁場利用の実態に即し、インプットコントロール(投入量規制)及びテクニカルコントロール(技術的規制)を基本とした実効ある資源管理を行います。

新(改悪)漁業法の最大の狙いとも言える、資源管理を装った公共水産資源の私的資本(ITQ)化の新資源管理のたくらみを的確に見破っており素晴らしいので、長くなりましたがすべて引用させていただきました。実は、立憲民主党基本政策 2017 年 12 月 28 日版では「漁業資源管理の適正な強化・拡充により、漁業経営の安定を図ります。」という水産庁のインチキ宣伝文句そのままだったので、心配だったのですが、これにより政権交代後は、現実の資源変動に適合せず、科学的根拠のないMSYに基づくTAC魚種を増やすロードマップを中止させることができます。ますます政権交代が待ち遠しくなってきました。

 

次回は、共産党が理想とする社会・共産主義社会の現実的なあり方について、私見を述べていきたいと思います。

 

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