なんでよりによって、規制改革会議の手先がわが母校に

  • 春なのに悲報が・・・

 

4月はリセットの季節。水産庁時代を思いだすと、日ごろは仕事に追いまくられ、季節の移ろいを感じない職場でも、さすがにこの季節だけは、向かいの外務省の桜が満開となり、濃紺の背広に身を包んだ新人が入庁してくると、「また一年たったのか」と感慨に浸ったものです。

 

しかし、気分がリフレュシュされるはずのこの時期に、悲報が飛び込んできました。なんと、あの「資源回復計画に取り組む漁業者を嘲笑しまくった、品のない学者」が、東京海洋大学に4月1日付で教官として採用されたのです。私が、卒業したのは東京水産大学、その後東京商船大学と統合し、名前が変わったとはいえわが母校であるには変わりありません。

 

そのことを知った時、「まさか」という愕然とした思いとともに、あの人物を採用したわが母校に対して、強い怒りが湧いてきました。一体、彼のどこをどう評価したゆえに、採用したのか。東京海洋大学には、資源管理や水産経済分野に、彼の言動の問題点を十二分に理解している先生が多くいるにも関わらず。いったいこれは、どうしたというのだ。思わず「採用面接教官はだれだ、出てこい!」と叫びたくなりました。

 

  • 彼は何をするのだろう

 

そこで、少し調べたらその募集要項が大学のホームページにありました。その一部を以下に引用します。

 

産学・地域連携推進機構 教授または准教授の公募について 応募期限H26.12.15

 1 募集人員:教授または准教授 1名 

2 所属:東京海洋大学産学・地域連携推進機構(専任・常勤)

3 職務内容:

大学の運営基盤にかかる以下の業務等の企画・運営・統括等を行う。

なお、これらの他に本学学部における講義等、大学院海洋科学技術研究科における講義等

をお願いすることがある。

・産学官連携や国内外における沿岸地域等との連携の推進

・研究プロジェクト及び共同研究等の推進

・教育や研究開発の成果の権利化、知財管理、教育・啓発ならびに技術移転の推進

・科学技術相談窓口対応

・各種セミナー等の開催および外部資金獲得に向けた調査・企画・立案

4 応募資格:

(1)専門分野は問わないが、水圏応用科学の領域における研究業績を有しながら、

本学が教育と研究活動を通じて国内および国際社会に果たす役割ならびに関連産業界等を十分に理解し、業務を推進できること

        参考:http://www.kaiyodai.ac.jp/info/index.html

(2)博士の学位を有すること

(3)大学等における教育研究歴を有すること

 

5 採用予定年月日: 平成27年4月1日

 

彼が採用されたのは、どうも通常の講座と異なる「産学・地域連携推進機構」という特殊な部門のようです。だから、この採用に係った関係者に彼のことを知る分野の教官がいなかったのかもしれません。おそらく少なからずいたと思われる応募者の中から彼が選ばれたのは、普通の選考では起こりえない、何かがあったか、それとも、あるべき何かがなかったのか、のような気がしてなりません。

 

それにしても、この機構で彼は何をするのでしょうか。募集要項は漠然としており、応募資格に「専門分野は問わない」とあるので、なおさらわかりません。そこで、大学の関係者に聞いてみたところ、「東日本大震災復興関係もその一つの仕事ではないかと思う」とのことでした。

 

 

  • ショック・ドクトリンの前進基地化が目的か

 

なるほど、そこに狙いがあるのか。これはあくまで私の推測ですが、上記3の職務内容の一番目にある「産学官連携や国内外における沿岸地域等との連携の推進」が、被災地の漁業に外部企業を参入させようとする規制改革会議の水産特区の推進に利用できると映りました。

 

 漁業者の猛反対の中、強引に導入された宮城県の水産特区とは、あの有名なベストセラー「ショック・ドクトリン 惨事便乗型資本主義の正体を暴く」(ナオミ・クライン著)で詳しい、「大惨事につけこんで実施される過激な市場原理主義改革」そのもののです。これについては、拙著「『コモンズの悲劇』から脱皮せよ」において「大惨事につけ込む新自由主義」として、要約しておりますのでご参照ください。

 

 なぜ彼が採用されたかを推測するに、おそらく彼の著書「日本の魚は大丈夫か 漁業は三陸から生まれ変わる(2011年9月)」が目に留まったのではないでしょうか。というのは、今までいたM大学では、ブログやマスコミ取材でお忙しかったためか、本業の資源研究の方はおろそかになり、「まともな論文の一本も書いていない!」というのが専門家筋のもっぱらの評判です。そのような彼が、資源管理分野での功績などで評価されるわけがないからです。

 

では、その著書「日本の魚は大丈夫か 漁業は三陸から生まれ変わる」に何が書いてあるのか私なりに、以下に要約します。

 

 まず、いつものように、日本の漁業には「ビジョンがない」「衰退を嘆くだけ」など、お得意の根拠なき抽象的な思い込みの刷り込みから始まり、毎度おなじみの以下のとおりです。

・漁業協同組合はダメ

・日本の資源は乱獲で減少の一途

・世界に目をやればもうかる漁業

・それに比較し日本は既得権益保持者にバラマキ補助金

・過剰な漁業者を撤退させよ

・漁協が抱え込んだ漁業権を企業に開放せよ

・キャッチシェヤー(ITQ)を導入しよう

・IQでノルウエーや韓国のようになろう

 

 

  • 大学の責任は免れない

 

まさにこの本は、規制改革会議の市場原理主義による改革路線で、漁業の分野における格差拡大、人減らし、外部資本導入、自分だけ成長主義などがてんこ盛りというところです。まさか、この本の内容が上記4応募資格の(1)にある「本学が、国内社会に果たす役割ならびに関連産業界等を十分に理解し、業務を推進できる」に合致したというのでしょうか。仮にそうだとすれば、わが母校も漁業者から見放される日も遠くはないと思います。しかし、絶対にそうさせてはなりません。

 

彼の行動により生じる結果は「個人のやったことで大学は関係ない」と言い逃れはできません。学問の自由と現実の漁業者に悪影響を及ぼす業務の推進とは別次元の問題です。大学は、彼を採用した以上その行動を十分な監視下に置き、今までのようにブログ、ツイッター、マスコミ受けを生きがいとするがごときの、好き勝手の状況に放置することがないよう、十分責任を果たしていただきたいと思います。

わが母校の伝統は、水産講習所以来引き継がれてきた実学を重んじる大学です。漁業者に寄り添い貢献する、その精神を決して踏み外さないように彼の指導をお願いしたいと思います。

 

  • 注意警報を発令しなければ

 

これまでは私は、彼の名前を揚げて批判することは避けてきました。いくら以下のように、彼のブログで「力生」という下の名を呼び捨てにされた便所の落書きのような侮辱的な絵を掲載されても。

なぜなら、批判すべきはその人物の主張や行為であり、その名前を明示しなくても関係者には、自分の主張は十分伝わるからです。また、それが最低限の社会的礼儀だと思ったからです。

 

 

以下の絵は、 ●●●●公式サイト 2010年5月28日 より引用

1111便所

 

しかし、今後は同じようにはいきません。これまでの彼の主張や、規制改革会議の手法を取り入れたマスコミや政治家を巧妙に利用する行動からして、母校が規制改革会議の悪名高きショック・ドクトリンの前進基地とされる恐れがきわめて高いと言わざるを得ません。それどころか規制改革会議は、次の一手として漁業権の取得に、競争入札制度を導入すべきと、金にものをいわせて漁師から海を奪う、究極の「漁業者減らし」を狙っているとのことで、さらに危険性が高まっています。

 

母校がそのような規制改革会議の手先に利用され、多くの漁業者に弊害をもたらすような活動を行う不名誉な学校になられては困ります。OBの一人として、それを阻止するのは義務でもあると思います。よって、本日からこのブログでは、その名前を明示し、彼の活動のターゲットとなる関係者に事前に注意喚起しておきたいと思います。

 

その名は、東京海洋大学産学・地域連携推進機構「勝川俊雄」准教授です。

 

 

 

 

1 comment for “なんでよりによって、規制改革会議の手先がわが母校に

  1. 柳澤唯佳
    2015年4月7日 at 6:19 PM

    私は、釣り好きがこうじて、水産関係の仕事に就いている者です。20年以上勤めておりますが、水揚げの減少と、価値の低い小型の魚を大量に水揚げしてくる現状には、体感的に危機感を感じております。そんな中で、佐藤氏のブログを見つけ、期待して読ませていただいたのですが、単に感情的で、説得力のない屁理屈の垂れ流しには、失望しております。佐藤氏が名指しで批判された勝川氏のブログを見たのですが、遥かに理論的で、説得力のある主張だと感じました。勿論、主張・考えは人それぞれなので、どちらかを否定するつもりはありません。しかし、勝川氏にはどうしたら日本の漁業が良くなるのか明確な主張があります。佐藤氏からは、IQ導入支持者に対する批判ばかりで、どうしたら日本の漁業が良くなるのかの主張が伝わってきません。せっかく大勢の人に発信しているのですから、批判ではなく自分の主張・主義を伝える場として、情報を発信してははいただけないでしょうか。

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