何の進展もなかったNHKからの再回答

平成27年4月15日に放送された、NHKクローズアップ現代の番組「食卓の魚高騰!海の資源をどう守る」に関するNHK会長あての手紙(平成27年6月24日付)に対し、番組担当プロデューサーから平成27年7月6日付で再回答がありました。

 

『クローズアップ現代』は、「やらせ」疑惑が社会問題化し、まさに今「放送倫理・番組向上機構(BPO)」において議論されている渦中にあります。よって、会長の指示で少しはまともな回答が返ってくるのではないかと期待しましたが、無理でした。

 

この再回答は、相も変わらず質問に答えず、何の関係があるのか理解に苦しむ「はぐらかし」「あとづけ言いつくろい」のオンパレードで、何の中身もないものと感じました。これでは、「食卓の魚高騰! 海の資源をどう守る」という番組のいい加減さを、より一層明確にしただけで、むしろ自ら「墓穴を掘った」ともいえるでしょう。

 

こんな回答しかできないNHKを相手に、いくらやり取りをしても進展を望むのは無理と判断せざるを得ません。よって、今後は「放送倫理・番組向上機構(BPO)」に申し立てをすることも検討したいと思っております。

 

まずその前に、再回答の内容とそれに対する私のコメントを、皆様にお知らせしておきたいと思います。繰り返しになりますが1回目回答も含め、以下、私の質問、1回目の回答及びそれへの私のコメント(要旨)、再回答及びそれへの私のコメントの順に記載しました。

 

1回目の回答もそうでしたが、再回答でも、なぜかNHKは番号を振った私の質問ごとに答えようとせず、回答は一括して文章がつづられたものでした。今回も、シー・シェパードのポールワトソンの教え「自分の目的に沿わない質問は無視せよ。言いたいことだけを述べよ」を忠実に守ったのでしょうか。

 

これを試験問題に例えると、問1.問2と質問があるのに、その回答欄は白紙で、答案用紙の裏側に文章がまとめて書かれており、『先生!これが答えです』としているようなものです。普通であれば、このような答案用紙は即零点ですが、私はやさしい先生なので、生徒:NHKの回答(らしきもの)を質問ごとに当てはめ整理するという、面倒な作業を行ったうえで採点しました。しかし、結果は零点で変わりませんでした。それにしても、このような回答の仕方そのものからしても、NHKが質問にまともに答えようとせず、何とか「はぐらかし」で逃げようとしている意図が露骨にうかがえたのは誠に残念でした

 

なお、今回は大変な長文となりましたので、これまでの経緯をご存知の方は、以下の赤字で表記した再回答の内容とそのあとに続くコメントのみを抜粋して読んでいただいても、十分ご理解いただけると思います。

 

 質問1 魚価が上昇してきている要因を「漁獲量の減少」としたのはどのような根拠からでしょうか。

 

<1回目の回答>

無回答

 

<再回答>

番組冒頭で紹介した国産のホッケ、アジは、漁業資源の減少が家計にも影響を与えることの例として紹介したものです。これらの魚種については、長期傾向のみならず、ここ数年、漁獲量の減少に併せて価格が上昇しています。(JF統計・築地市場統計より) 

 

<再回答へのコメント>

・ホッケ資源が減少しているのは事実です。しかし、マアジの資源評価は2系群とも中位・横ばいで「漁業資源の減少」の例として紹介するのは虚偽に当たります。

 

・よって、番組名が「食卓のホッケ高騰!ホッケの資源をどう守る」であったなら魚価と資源に多少の因果関係があるかもしれませんが、ホッケを他魚種にまで拡大し、「食卓の魚高騰!海の資源をどう守る」とする主張は「少しの事実に多くの嘘をまぶす」もので、虚偽そのものです。

 

 質問2 2014年国内漁業生産量(速報値)は前年とほぼ同じであり、過去において日本の漁獲量は大きく減少してきたが同時に魚価も低下したなどの事実からすると、現在生じている魚価の上昇要因を「漁獲量の減少」と決めつけることは、ガイドライン2-①のア「正確であるためには事実を正しく把握することが欠かせない」及びガイドライン2-②のオ「事実と意見は明確に区別されるべきである」に合致していないのではないかとの疑念を抱かざるを得ませんが、いかがお考えでしょうか。(注:ガイドラインとは、「放送ガイドライン2011」のこと。以下同じ)

 

<1回目の回答>

無回答

 

<再回答>

円安や輸入水産物は、これらの魚種(ホッケ、アジ)の価格に大きな影響を及ぼしていないとの取材結果を市場関係者から得ています。

 

<再回答へのコメント>

・仮に、この再回答の事実があったとしても、ホッケ以外の魚の価格上昇の要因を資源減少とする主張の根拠にはならず、質問に答えていません。

 

・なお、一昨年来の魚価の上昇傾向は、資源が安定している魚種はもちろん、資源変動とは関係のない養殖魚(例えばハマチ)にも及んでいます。にもかかわらず、資源が減っていないアジにだけ円安の大きな影響が及んでいないとすれば、いったい何が影響してアジの価格が上昇したのか、是非その市場関係者にお聞きしてみたいところです。

 

 質問3 流通関係に詳しい人の意見では「最近の魚価の上昇は、円安による輸入水産物の価格の上昇が最も大きな要因」とのことでしたが「食卓の魚高騰!」と感嘆符まで着いた見出しを揚げて視聴者の関心を誘いながら、円安の影響ついて貴番組で全く触れられていないのは、どういう理由からでしょうか。

<1回目の回答>

無回答

 

<再回答>

(上記2と同じく)円安や輸入水産物は、これらの魚種(ホッケ、アジ)の価格に大きな影響を及ぼしていないとの取材結果を市場関係者から得ています。

 

<再回答へのコメント>

・「食卓の魚とは、アジとホッケのことでそれ以外の魚を含みません」と番組のどこで説明しているのでしょう。質問への答えになっていません。

 

・なお、少なくともこの再回答からいえることは、NHKが価格上昇に円安が大きな影響を及ぼしていることの事実は、認識していたことです

 

・では、なぜこの番組はホッケ特集ではないにもかかわらず、円安に一言も触れなかったのでしょうか。さらに疑問が深まってきます。おそらく、円安に触れると「魚価高騰は資源減少が要因」というドラマ化されたシナリオが崩壊してしまうからでしょう

 

 質問4「円安による影響」に全く触れないのは、ガイドライン2-②のア「幅広い視点から情報を提供する」に合致していないのではないかとの疑念を抱かざるを得ませんが、いかがお考えでしょうか。

 

<1回目の回答>

無回答

 

<再回答>

上記質問3に同じ

 

<再回答へのコメント>

上記質問3に同じ

 

 質問5 「日本の魚が大きく減っています」と判断した根拠はなんでしょうか。 

 

<1回目の回答>

漁業資源が長期に渡って減少している実態は、農水省の「漁業・養殖生産統計」や「水産白書」に記載されており、また4年前に農林水産省が漁業者に対し行ったアンケート調査においても87.9%が「資源の減少を実感している」と回答しています。

 

<1回目の回答>に対するコメント

・漁業生産量は、最近年で見ると「大きく減っていない」むしろ「下げ止まった」

・漁業者にとっての資源状況とは、その資源が最も多く獲れた時の記憶・体感を基準に判断する。よって、アンケート結果で今の資源状態に言及すること自体に意味がない。

 

<再回答>

水産庁の「我が国周辺水域の資源評価」によると、アアジやマサバの資源量は、いずれもピーク時よりも減少しています。これ以外の魚種についても減少していることは、水産白書の「マイワシを除いた沖合・沿岸漁業生産量」のグラフにも示されています。

 

<再回答へのコメント>

・「アアジやマサバの資源量は、いずれもピーク時よりも減少しています」ということは、ピーク時の資源量を下回った魚種はすべて減少しているということになり、これではほとんどすべての魚種の資源評価は常に「減少している」となります。

 

・これは、漁獲の対象になっていない資源ですら、自然界においては増加・減少の変動が避けられないという生態特性を全く理解していない驚くべき見解です。世界の海においてピーク時の資源量を維持している魚種など聞いたことがありません。失礼ですが、このような程度の知識しかお持ちでない方が、番組制作責任者であったからこそ、あのような番組ができたのかと納得がいきます。

 

・さらに、水産白書の「マイワシを除いた沖合・沿岸漁業生産量」のグラフで「漁獲量が減少している」も資源減少の根拠にはなりません。これも資源管理のイロハですが、漁獲量と資源量の変動は必ずしも一致しません。仮に、漁獲量の変動がそのまま資源量の変動を表すなら、漁獲統計さえあれば資源調査や研究者は不要と言えます。その理由を二つあげましょう。

 

・一つ目は、資源保護のために規制を強化すれば、漁獲量は減りますが資源量は増えます。例えば、秋田のハタハタの3年間の休漁中の漁獲量はゼロでしたが、これを見て「ハタハタ資源ついに絶滅か」という人はいません。むしろ、漁獲量がピークにあった時こそが、過剰漁獲であった可能性が高く、それが原因でその後の資源が減ったとすれば、常にピーク時の漁獲量を目指せというのは、常に過剰漁獲せよと言っているようなものです。資源管理が進展すればピーク時より漁獲量が減るのは当然と言えるのではないでしょうか。

 

・二つ目は、過去20年以上にわたるデフレ不況等による魚価安に加え、燃油高騰という厳しい漁業情勢下において、漁船隻数は、平成14年から平成25年の約10年間だけでも2/3に減少しました。このため、漁獲圧力の低下が進み、資源が増加しても漁獲量が増えないのです。その具体例として以下に、マアジ対馬暖流系群の資源密度指数と有効漁獲努力量の関係図を挙げておきます。

 img081

 質問6 日本の漁業生産量が大きく減った要因は、マイワシ資源が自然変動による減少期を迎えたためであり、その要因は、温暖化でも乱獲でもありません。またその他の資源も一時は減少しましたが、その後回復策が講じられ、水産白書にもあるように資源は全般的に回復傾向にあります。これらは広く知られている基本的な事実です。にもかかわらず、これらのことに全く触れられていない理由は何でしょうか。

 

<1回目の回答>

(漁業資源が長期に渡って減少している)その要因は、水産白書には「水温上昇などの環境変動全般」や「人間による漁獲の影響」などがあげられており、いずれも番組のスタジオでキャスターが紹介しております。

 

<1回目の回答>に対するコメント

「日本の魚が大きく減った」のは過去のこと、今は大きく減っていない、むしろ増えつつある。よって、このことを認めずなぜ「大きく減った」というのかに全く答えていない。

 

<再回答>

先回の回答で申し上げた通り、番組が問題提起しているのは、日本の漁業資源が長期にわたり減少し続けていることです。多くの専門家等への取材で、漁業資源は環境変動など様々な要因の影響を受けるため、短期的な変動より、長期的な変動を見る方が重要であるとの指摘を得ています。

 

<再回答へのコメント>

・「番組が問題提起しているのは、日本の漁業資源が長期にわたり減少し続けていることです」とされていますが、番組において「長期にわたり」という表現は一切でてきません。むしろ、番組の導入部分で今起こっている魚の高騰を強調していることから、視聴者はその原因とする資源減少も今起こっている問題と、とらえるのは当然です。なぜなら、長期にわたり魚が高騰してきた事実はないからです。

 

・再回答の後半で何を主張されようとしているのか、正直わかりかねますが、一時悪化した資源が回復傾向に向かったのは、ここ数年の短期的変動ではありません。また、逆に「長期的な変動を見る方が重要である」とするなら、その典型であるマイワシ資源の盛衰について言及していないのは理解しがたいことです。加えて、番組では短期・長期変動などの説明も一切出てきておらず、この再回答は、あとづけの感が否めません

 

・なお、「多くの専門家等への取材」とされていますが、その専門家とはドラマ化されたシナリオに都合の良い専門家のみではないでしょうか。なぜならゲストの勝川氏と考え方が異なる専門家は一人として番組に登場しませんので。

 

 質問7 貴番組において日本における資源回復状況に一切触れていないのは、ガイドライン2-①のア「事実を正しく把握する」に反するのみならず、「魚は手の届かない存在になってしまうのでしょうか」という表現は、事実に反しいたずらに視聴者の不安をあおるものであり、ガイドラン2-①のウ「番組のねらいを強調するあまり事実をわい曲してはならない」にも合致しかねないものと受け止められますが、いかがお考えでしょうか。

<1回目の回答>

無回答

 

<再回答>

取材の過程で、魚価が上昇して「魚が手に届かなくなっている」という消費者の声を多数聞いたことから、それを番組では代弁しました。

 

<再回答へのコメント>

・店頭から一時期消え、今も品薄な「バター」や、生産量が大きく減少した「ホッケ」「ウナギ」などの特定魚種であれば、そういう「消費者の声」もあり得るかと思いますが、国内の漁獲量全体は減っておらず、スーパーの魚コーナーには今も多くの魚が売られています。よって、仮にそのような「消費者の声」があったとしても、それは円安を要因とする魚全体の「価格高騰」に対する不安を訴えているとしか解釈できません

 

・にもかかわらず、番組の中ではまったく円安に触れていないことから、視聴者は「魚が手に届かなくなっている」のは、「資源が減少しているから」と受け止めるしかありません。これでは、消費者の声を「代弁」したのではなく「悪用」したと言えましょう。

 

質問8 アジ、サバの資源を「軒並み減少しています」とした根拠は何でしょうか。

<1回目の回答>

無回答

 

<再回答>

無回答

 

 質問9 資源量の推移のグラフに掲載されたスケソウダラ(日本海北部系群)はスケトウダラ4系群のうちのひとつですが、これのみを選択した基準はなにでしょうか。

<1回目の回答>

無回答

 

<再回答>

番組で示したグラフでは、資源量減少という傾向や課題を伝えるため、危機感の高い海域に注目しています。

 

<再回答へのコメント>

・この再回答は、NHKのガイドラインで定めた「番組のねらいを強調するあまり事実をわい曲してはならない」に抵触しているのを、自ら認めたと受け止められます

 

・なぜなら、番組では資源量が減少している(この認識の是非は、ここではいったん触れないことにします)ことを伝えたい(強調したい)がために、「危機感の高い海域」=「資源の悪い魚種」をグラフで取り上げたとしています。であれば、番組では悪い資源のみを抽出しグラフにしましたと必ず説明すべでしょう。でないと、視聴者はこのグラフを日本の資源を代表しているものと思い込むのが必然であるからです。

 

・ところが、番組ではご丁寧にもグラフの右上に「魚が取れない 日本の海に何が?」と「日本海」ではなく「日本の海」と明記しております。これでは、(資源量が減少しているという)番組の狙いを強調するあまり(良い資源に触れず、悪い資源のみを示すことで、あたかもすべて悪いがごとく)事実をわい曲したと、指摘されても当然と考えます。

 

 質問10 水産庁による資源評価では、マアジ2系群はいずれも「中位・横ばい」、マサバ2系群は「低位・増加」と「低位・減少」、ゴマサバ2系群は「高位・横ばい」と「中位・増加」で、通算するとアジやサバ6系群中「減少」は1系群のみです。この事実に基づけば「軒並み減少」との記述は、ガイドライン2-①のア「事実を正しく把握する」に反するのみならず、ガイドラン2-①のウ「番組のねらいを強調するあまり事実をわい曲してはならない」にも合致しかねないものと受け止められますが、いかがお考えでしょうか。

<1回目の回答>

無回答

 

<再回答>

無回答

 

 質問11 グラフにあるスケソウダラ(日本海北部系群)は、4系群のうち最も資源が悪化している系群ですが、これのみを取り上げることは、ガイドライン2-①のア「事実を正しく把握する」に反するのではないかと受け止められますが、いかがお考えでしょうか。さらに、補足しておきたいことがあります。このグラフのマサバは対馬暖流系群があげられていますが、もう一つの太平洋系群では資源回復措置により資源量が、その取り組みの開始時点の700%を超える増加率を示し、日本周辺資源としては最大の195万トンに達しております。しかし、この事実に触れず、減少する対馬暖流系のマサバのみをグラフにあげたのは、貴番組の編集方針において、事実とは反しても資源悪化を強調し「軒並み減少している」としたいねらいがあったために、意図的にそうしたのではないかと、強く疑義を感じざるを得ません。

<1回目の回答>

無回答

 

<再回答>

番組で示したグラフでは、資源量減少という傾向や課題を伝えるため、危機感の高い海域に注目しています。なお、マサバについては、東日本大震災の影響のない系群を例示しています。

 

<再回答へのコメント>

・この再回答の前半については、上記質問9に同じ。

 

・後段の「東日本大震災の影響」の「影響」とは何をおっしゃりたいのか意味不明ですが、それを除いてもマサバ太平洋系群だけを除外する理由は見当たりません。なぜなら、このグラフにはマアジ太平洋系群が掲げられており、この資源はマサバ同様に東日本大震災の影響を受けた太平洋北区に分布し漁獲されているからです。こんな矛盾した説明では、まったく回答になっていません。

 

・資源回復に成功した良い事例を示すと、ドラマ化されたシナリオが崩壊するからあえてそれを、隠したかったのではないかと推測せざるを得ません。

 

 質問12 「早い者勝ちの漁獲競争に歯止めがかけられていません」と判断した根拠となる日本における具体的事例(漁業種類、魚種、漁場、漁期など)をご教示願います。これまで、日本でその様な具体的事例が指摘された事例を承知しておらず、ぜひお聞きしたいための質問です。

 

<1回目の回答>

無回答

 

<再回答>

番組では、銚子沖のマサバ巻き網漁で、成長前のサバの群れであっても、取らなければ他の漁船に獲られてしまうため仕方なく網を入れる実態を紹介しています。漁業者からは、漁船ごとの漁獲規制がないため、早い者勝ちの漁獲競争が行われるという嘆きの声を多数得ています。

 

<再回答へのコメント>

番組に登場した漁師は「どこでやっても小さいサバしかいない。他に取るものがなければ、まさか『水揚げゼロ』というわけにはいかない。」と言っているだけで「たとえ自分が取らなくても、ほかの船に取られてしまいます」などと言っておりません

 

・番組のナレーションでそう説明しているだけであり、むしろ番組側が一方的にこの説明を挿入した疑いすらあります。なぜなら、銚子沖で操業するまき網漁船は、国から割り当てられた漁獲枠を、仲間内での自主的な話し合いで船ごとに分配(個別割り当て)しているため、「取らなければ他の漁船に獲られてしまう」という状況にないからです。

 

・「早い者勝ちの漁獲競争が行われるという嘆きの声を多数得ています」というならば、その多数得ている『嘆きの声』の具体的事例(漁業種類、魚種、漁場、漁期など)がなぜ示せないのでしょうか。むしろ私には、番組から「嘘でした、ごめんなさい、もう勘弁して」という『嘆きの声』が聞こえてくるように思えるのですが・・・。

 

質問13 上記の記述は「漁獲量を制限すれば漁獲競争が是正できる」と受け止められますが、漁獲量を制限すればどうして漁獲競争がなくなるのかをご教示願います。魚は限られた漁場と漁期に集中することが多く、あとでゆっくり獲ろうとしても魚が分散してしまうことから、結局漁獲競争はなくならなかったとの外国の事例もありますので、ぜひお聞きしたいための質問です。 

 

<1回目の回答>

直接的回答無し

 

<再回答>

無回答

 

 質問14 上記の記述は、日本の資源管理のあり方を巡る議論で、「日本では漁業者の話し合いにより漁獲競争は抑制されている」と主張する者との間で、意見が対立しております。にもかかわらず、貴番組ではそのことに全く触れておりません。これは、ガイドライン2-②のイ「 意見が対立する問題を取り扱う場合には、原則として個々のニュースや番組の中で双方の意見を伝える。仮に双方の意見を紹介できないときでも、異なる意見があることを伝え、同一のシリーズ内で紹介するなど、放送全体で公平性を確保するように努める」に合致していないと考えざるを得ませんが、いかがお考えでしょうか。

<1回目の回答>

直接的回答無し

(抽象的回答として)資源管理については、さまざまな議論があることをふまえ、国内外で実施されている様々な漁獲規制を取り上げ、立場の異なる方の意見を紹介しています。また、一部の魚種では漁協などが自主的に資源管理を行い、資源の回復に一定の成果を上げてきたことについても、番組のスタジオでキャスターが紹介しております。

 

<1回目の回答>に対するコメント

番組の構成は、定量的及び定性的のいずれの観点からも勝川氏の主張に著しく偏重していると判断せざるを得ない。

 

<再回答>

資源管理については、立場の異なる様々な意見が存在することも踏まえ、水産庁も含めた国内外の様々な関係者を広く取材しています。漁業者の話し合いにより、資源の回復に効果を上げている事例があることも紹介しています。

 

<再回答へのコメント>

1回目の回答に同じであり、新たにコメントすべきことはありません。

 

質問15 「僅か7魚種」の「僅か」の記述は、漁獲量上限を定める魚種が多い方がより望ましい資源管理手法と、貴番組では判断したと受け止められますが、その根拠はなんですか。

<1回目の回答>

直接的回答無し

 

<再回答>

日本では欧米諸国と比較して漁獲制限の対象種が少ないこと。またあっても実際の漁獲量の上限設定が大きすぎることが、資源の回復を遅らせる一因であるという意見も紹介しました。

 

<再回答へのコメント>

・漁獲量制限は資源管理の一つの手法であり、たまたま漁業の歴史の短い欧米において、その手法が主流となったにすぎません。一方、長い漁業の歴史の中で培われた漁獲努力量規制を主体とし、公的管理と自主的管理を組み合わせた日本型資源管理手法は、世界的にも高い評価を得ており、これが欧米の手法より劣っているという客観的根拠はありません

 

・なお、資源の回復が必要な資源についても、どの程度の期間で回復させるかは、漁業経営に与える影響も勘案して決められるべきものであり、短ければよいというものではありません。

 

・ゲストの勝川氏の主張とは異なる資源管理手法の専門家が出演しなかったことから、欧米型の資源管理手法があたかもすぐれているかごときの誤った印象を視聴者に与えた番組になったことは誠に残念でなりません。

 

 質問16 日本における資源管理のあり方の議論の中では、その国々の漁業や資源の特徴に応じ、漁獲量規制か、あるいは漁獲努力量規制か、が選択されるべきであり、加入変動の大きい魚種には漁獲量制限による資源管理手法はふさわしくないとの意見がありますが、貴番組ではそのことについて全く触れておりません。これは、ガイドライン2-②のイ「異なる意見があることを伝える。放送全体で公平性を確保するように努める」に合致していないと考えざるを得ませんが、いかがお考えでしょうか。

<1回目の回答>

無回答

 

<再回答>

上記質問14に同じ

 

<再回答へのコメント>

上記質問14に同じ

 

質問17 「しかもその上限は、実際の漁獲量を大きく上回っています」としていますが、なぜ国が定める漁獲量の上限が、実際の漁獲量を上回ってはいけないのかご教示願います。国が定める漁獲量の上限は、資源管理を目的としており、その漁獲量の消化率を上げることを目的としておりません。よって、実際の漁獲量が漁獲量の上限を上回れば資源管理上問題となりますが、それを下回って何の問題があるのか、ぜひお聞きしたいための質問です

<1回目の回答>

無回答

 

<再回答>

無回答

 

 質問18 勝川氏は、外国の漁獲規制(正確に言うと個別割当:IQ)を日本に導入すべきと一貫して主張されており、日本の資源管理のあり方に関する意見の対立における一方を代表する一人といえます。これはガイドライン2-②のウ「番組ではさまざまな意見や見方を反映できるように出演者は幅広く選ぶ」及びガイドライン4-①イ「番組のジャンルを問わず、構成や演出など、全般にわたって幅広く目配りするとともに、題材や出演者の選び方に偏りがないように注意する」に合致していないと考えざるを得ませんが、いかがお考えでしょうか。

<1回目の回答>

直接的回答なし

抽象的回答としては、上記質問14が該当

 

<再回答>

上記質問14に同じ

 

<再回答へのコメント>

上記質問14に同じ

 

19 貴番組が題材に取上げた新潟県におけるアマエビのような、船ごとの漁獲規制の試みは、すでに全国各地に前例があります。よって「日本でも始めたところがあります」の記述では、視聴者に「それまで日本には前例がなかった」と誤解されかねません。これはガイドライン2-①ア「NHKのニュースや番組は正確でなければならない。正確であるためには事実を正しく把握することが欠かせない」に合致していないと考えざるを得ませんが、いかがお考えでしょうか。

<1回目の回答>

無回答

 

<再回答>

無回答

 

 20 貴番組において、新潟県におけるアマエビの事例を取り上げた目的は「船ごとの漁獲規制」と「籠の網目拡大」による資源管理効果の事例を視聴者に示すことと受け止められます。であれば、同じ日本海の事例である「ベニズワイガニ籠漁業」での資源管理の方が、実施年次がより長い、船ごとの漁獲規制に全船が参加、その違反には公的罰則が課せられてより厳格、網目拡大により漁獲物が大型化、アマエビと異なり資源が増加している、などからよりふさわしい題材といえます。にもかかわらずこの優良な題材を取り上げず、アマエビを取り上げたのは、ゲストの勝川氏がこれにかかわっているからだとすれば、ガイドライン4-①イ「番組のジャンルを問わず、構成や演出など、全般にわたって幅広く目配りするとともに、題材や出演者の選び方に偏りがないように注意する」に合致していないと考えざるを得ませんが、いかがお考えでしょうか。

<1回目の回答>

スタジオ出演者は、取材対象の選定にかかわっておらず、番組では様々な意見があることを幅広く伝えています。

 

<1回目の回答>に対するコメント

・なぜ新潟県のアマエビが、他に優良な事例(日本海ベニズワイガニ籠漁業)があるのに、それを差し置いてこれを題材として選定されたのか回答がない。

・新潟県のアマエビは、資源保護というより乱獲を促進しているのではないかと指摘されかねないので、優良事例とは言えない。

 

<再回答>

船ごとの漁獲規制については、水産白書の「漁業者による自主的な資源管理の取り組みの事例」の中で、比較的新しい取り組みとされているアマエビの事例を紹介しました。

 

<再回答へのコメント>

・NHKにはタイムマシンでもあるのでしょうか。番組の放送は今年の4月15日で、水産白書の公表は5月22日です。どうして放送の1か月以上も後に公表された水産白書の内容が番組に取り上げられるのでしょうか。そんなことは、普通ではあり得ません。ということは、NHKは白書公表以前に、その内容が記載されることを知っていたということになります。ここは大変興味深い点です。

 

・そこで少し調べてみましたら、白書に新潟県のアマエビを記載することとなったきっかけは、今年の2月25日に開催された与党の部会で水産庁が白書の原案を説明した際に、広島県選出の議員がこれを記述するように発言したことのようです。

 

・では、どうして広島県選出の議員が地元の事でもないのにそのような発言をしたのでしょうか。それは、ゲストの勝川氏がその議員と日ごろから個別割り当てを日本に導入すべきとする考え方を基にした資源管理の勉強会のようなものを設けていたからです。つまり、ゲストの勝川氏が、自分が関与している「新潟県のアマエビ」の事例を政治家により水産庁に水産白書に記載するよう働きかけ、そのことをNHKに内々伝えていたからではないでしょうか。

 

・政治家が白書の内容に意見を言って悪いとは申し上げません。しかし、そのような手段を使わなければ白書に記載されなかった事例を、NHKがその白書が公表もされていないのに、わざわざ番組の題材として取り上げた理由は何だったのでしょう。ますます疑惑は深まるばかりです。

 

図らずも再回答により判明してきたこれらの経緯から見て「新潟県のアマエビ」を題材として取り上げたのは、NHKガイドラインにある「題材や出演者の選び方に偏りがないように注意する」とは程遠いものであったと思わざるを得ません

 

(NHKからの反論へのコメント)

 

以上がNHKからの再回答の内容ですが、上記以外で是非紹介しておかねばならないことがあります。それは、20の質問への回答ではなく、私がNHK会長にさし上げた手紙において「少なくとも7つの嘘が満載されているこの番組」などと指摘したことへの反論(以下の赤字)です。

 

クローズアップ現代「食卓の魚高騰!海の資源をどう守る」の内容につきましては、水産庁、全国各地の漁業者や市場関係者、研究者、消費者など様々な取材で得られた事実を元に制作しており、虚偽の内容であるとのご指摘は当たりません。

 

以下の点から上記の反論には同意できません。

 

・「取材で得られた事実を元に制作しているから虚偽ではない」は、番組制作責任者がそう思っているだけで、何ら客観性を持った説明になっていません。むしろ「第4の権力」とも称されるマスコミの傲慢さを感じさせるものです。

 

・ではなぜ、NHKに「放送ガイドライン2011」が存在するのでしょうか。そこには、ニュースや番組に求められる「正確、公平・公正」を確保するための取材・制作の基本ルールが詳細かつ多岐にわたり定められています。それは、「取材で得られた事実を元に制作しているから虚偽ではない」とは言い切れないからではないでしょうか。現に「クローズアップ現代」では過去の放送内容が、「放送倫理・番組向上機構(BPO)」の審議対象になっているにも関わらず、なぜ「虚偽ではない」と断言できるのか理解できません。

 

・ここで上記のNHKの反論においても虚偽があることを指摘しておきたいと思います。上記反論には、種々の取材先が記載されていますが、私は、その一つにどういう取材があったのかの事実関係を調べてみました。しかし、その取材先は、NHKからの取材要請はあったようですが、結局取材は受けていないとのことでした。その理由は、「番組には欠かせないゲストに誰を予定しているのか」との質問に対しNHKがその回答をかたくなに拒んだことからそうなったようでした。NHKは取材要請さえすればそれが取材先となるのでしょうか。調べればすぐわかるような嘘をNHKはどうして書くのでしょうか

 

私はこの事実を知って、何度も指摘してきた「ドラマ化されたシナリオ」が実在したことを確信しました。なぜ、NHKはゲストの名前を明かすことをかたくなに拒んだのでしょうか。それは、そのゲストを明かすことで取材先に「正確、公平・公正」ではない「ドラマ化されたシナリオ」があることが露見し、その隠されたシナリオに都合の良い発言を引き出せなくなると考えたからではないでしょうか。

 

以上、番組の制作過程における多くの問題の存在を明らかにしたこの再回答で、NHKは自ら「墓穴を掘った」と言わざるを得ません。

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